人狼 ページ13
人狼side
この前の…久方ぶりの外気が鼻を擽る
ガタガタと揺れる馬車
この空気は…雨が降っているのか
近くで奴らの遠吠えも聞こえる
『さて、お前達に俺は何を話せば良い？』
顔を伺う
ただ1人、此方を見て口角を上げている者が1人
gr 「…久しいな人狼」
此奴は確か…あぁ！！
『あの時の坊ちゃんか…ほぉ〜…立派になったなぁw』
『あの日もこんな天気だったな』
Aが俺と契約を結ぶ前……
崖から落ち、途方に暮れ狼の餌食になりそうだったところをAが止めた奴だよな？
此奴の能力は真っ黒な炎を自由に操っていた
少しばかり厄介だがこの肉体が無理をしたら勝てる
gr 「お前達の様な存在は…どうしたら我々は認識できるんだ？」
此奴…この状況楽しんでんな
…そうだなぁ
『…あんまり見る事はお勧めしないが…』
『お前は既に見た事があるんじゃないか？フューラー』
gr 「そうか…やはり…」
ut 「え？え？」
『一瞬だけ死ぬ必要がある』
os 「…一瞬？」
ht 「…ちょっと待って？」
chi 「グルッペンさん死んだ事あるって…事？」
『そういう事になる』
途端馬車の後方窓が砕け散った
一欠片も逃さない様に修復する
『狙われてんな、カーテンを閉めようか』ｼｬｯ
os 「追ってか？」
『さぁ？』
ふむ…話し合いには邪魔だな
『ま、今は崖だし雷で落ちるだろ』ﾊﾟﾁﾝ
…生き物の気配が消えた
死んだな
ut 「な、、、」
chi 「耳がｯ…」
os 「眩しい"」
ht 「…馬車の揺れが」
『もうこの馬車に馬は繋がれとらんぞ？』
gr 「どういう事だ？」
『食われたんだよ』
前方のカーテンを開ける
馬は居ないが正確に馬車は進んでいた
綺麗な透き通る様な牡鹿が2頭馬車を引いていた
『あー……途中馬車の前に獣がいたの知らんだろお前ら』
『その際に食われとるわ』
ht 「嘘…」
『代わりにさっき近くにおった奴らに頼んだ』
『あの牡鹿は雨の時しか姿を見せんからな』
あいつらも風狼と同じ類に入る奴らだ
悪魔でも天使でもない、人ならざる者
ut 「あれ…どっかで…？」
「ア"ッｯ！！」
お？そういやこの前髪メガネは研究室に入った事あったな
ut 「あれや！Aの研究室の壁に貼られとったわ」
『御名答、前髪メガネ』
ut 「ウツですぅ」
“余計な事喋んな”
『おや？主人に怒られてしまった』
『俺はそろそろ帰る』
“全く…ペラペラと”
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