十三夜月 ページ6
モンスター(?)side
暗い森の中。騒ぐ村人たち。
「おーい！爆豪!!お前らちょっと来い！」
赤い髪の男が叫んだ瞬間、あたりに人影が現れる。
「うるっせぇんだよ！他にばれるだろうが！」
「何かあったの？」
でてきたのはモンスターたち。
恐る恐る出てきたモンスターとは違い、村人は憤怒しているようだ。
「何があったもくそもねーよ！
まーたAに近づいたろ！ほうき持ってたから次は麗日か?!」
お茶子が名前を言われてビクっと体を震わせる。
「み、見とったん？」
「私達は毎日当番で協会見張ってますのよ。
麗日さんが来た時は口田さんが当番でしたわ。
他の村人たちが見ていたかはまだ分かりません。」
八百万の言葉にしゅん、と落ち込むお茶子。
だって、私だって彼女に会いたかった。
抱きしめたかった。
「麗日少女。会いに行ったのか…」
「ごめんなさい。」
「止めなかったのは僕らだよ。会いにいきたい、っていう麗日さんをみて、何も言えなかった…」
どんよりとした空気になり、瀬呂がしょうがねぇな、と頭をかいた。
「これからは気をつけろよ。なにが引き金になるかわかんないんだ」
「……俺も、」
轟が八重歯を見せながら口を開く。
「俺も、会うのを控えたほうがいいか？」
心配そうな瞳は自分の淋しさも物語っていた。
「…お前は満月には行ってやれ。彼氏だろ」
お前が行かなくて、誰が行くんだ。
そう言われても、俺にはもう、あいつとそばにいて慰めてやることもできない。
「焦るな。全員、戻りたいかと問われれば断言は出来ないんだろう。
非合理的だが今は…吹く風に任せよう。」
吹く風に任せて、彼等はどこに行くんだろう。
生きる死か死んだ生か。
彼女が逃げたいと願ったように、彼等もまた選択から逃げていた。
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作者名：鬱ネコ | 作成日時：2017年9月15日 22時
