上弦の月 ページ4
モンスターside
「かーみーなーりーくん？？」
「悪かったって！そんな怒るなよ麗日！」
夜森の中で騒がしく話すモンスターたち。
悪魔の上鳴、魔女の麗日、ミイラの相澤、骸骨ようなオールマイト、狼男の爆豪、吸血鬼の轟、ゾンビの飯田、まるで子供のようなお化けの緑谷。
様々なモンスターたちが集まっている。
「だって私だってAちゃんに会いたかったんよ！？
親友なんやから！」
「てか満月の度に行ってる轟に言えよ！」
お茶子が般若の形相で怒っているなか上鳴は助けを求めるように、轟を見た。
「わりぃ」
「いや轟くんは別やろ?!こ、恋人なんだし…」
と、すこし切なそうに顔を顰めるのを見ても轟は表情を変えずに首を降る。
まるであの頃は嘘だったと言うかのように。
「あいつは覚えてねぇよ」
その言葉を発した途端辺りは静かになった。
全員目を伏せている。
…でも、覚えてないとしても確かにあったのだ。
楽しかった事、悔しかった事、全部。
「でも元凶のAを見つけたのは轟だからな。
それくらいの権利はある」
沈黙を破ったのは相澤だった。
「そうですね。
ここにきたばっかの轟くんすごかったもん。
混乱している僕らに構わずAちゃんを探しに行って。
食事をするのも忘れるくらい」
「それでA少女に血を恵んでもらったんだろう？
良かったじゃないか」
とオールマイトが笑った途端、爆豪ががリッと近くの岩を鋭い爪で引っ掻いた。
岩には削れた爪のあとが残る。
「そんな昔のことはどーでもいんだよ。
それよりAをどーするかだ。
いつまでもこーしてる訳にはいかねーだろ。」
「だからといってどうするん？
Aちゃんは全部忘れてる。
それに…戻りたいんか？」
「……戻るしかねぇだろ」
理屈もなにもないが、みんな分かってる。
私達は、
戻らなければならない。
「…取り敢えず、Aが思い出すのを待とう。
それから決めればいい」
「あ、あと今はあんまりAちゃんにも元A組の皆にも近づかない方がいいね。
……魔女狩りのこともあるし」
オールマイトが元でもトップヒーローなだけあり冷静な判断をする。
モンスター、だからこそ言動に気をつけなければ。
他の人を死なせる前に。
「…でも私、Aちゃんに会いにいきたい。
お願いです。行ったら思いだすかもしれないし…。
親友として、一瞬でもあの子のそばに居たいんです」
麗日の瞳は涙で溢れていた
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作者名：鬱ネコ | 作成日時：2017年9月15日 22時
