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新月 ページ1
「こんばんは。」
「……血ぃ、吸ってもいいか？」
「勿論」
満月の夜の懺悔室。そこに訪れた吸血鬼。
それに血を吸われるシスター。
ああなんて罪深い光景なのかしら。
……いいでしょう？別に。
「やっぱり、美味しいな。」
「ありがとう」
私たちは愛し合っているんだから。
罪なんて、知ったことじゃないわ。
血を吸われたあとは何時もの通り軽く話をしたり、キスをしたり。
「好きよ、焦凍」
「俺も愛してる、A」
…モンスターなんて、知ったことじゃないの。
顔も知らない神なんかより、私は彼を選んだんだから。
私を受け入れてくれる、彼に。
「もうすぐ…朝だな。」
「ええ、そろそろ行かないと朝日がでてしまうわ。」
「ああ。それじゃあ……
＿＿__お前も一緒に行かないか？」
帰る間際に淋しそうに眉を寄せる彼。
ごめんね。
何時もの通りわたしは変わらない、捨てられない、弱虫のままで。
「私はシスターだもの」
＿＿本当は神も信仰も捨てて貴方についていきたい。
なのに。
「じゃあ、次の満月の夜に」
ここにいる村人たちの期待、信頼、希望。
神に信仰を捧げてしまったこと。
そしてこの協会が
＿＿＿＿私を掴んで離さない。
「待ってる」
どうか、貴方はこんな私を赦して。
.
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作者名：鬱ネコ | 作成日時：2017年9月15日 22時
