男の子、守っちゃいます。 (ページ5)

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5. お金の亡者ページ5

え？
うーん。家一軒… ？
　
… 大体、いくらぐらいだ？
家の大きさとか、どこに建てるかにもよるしなあ…
　

「すみません。社長、その、具体的な金額を教えていただけると助かります。
　家の大きさとかどこに建てるかによって、金額違いますし… 」

　
　

「相変わらず冷静だね… こんなときでも、クールだ。さすがだよ。」

「お褒めにいただき光栄です。」

　

「いや、褒めてないから！まあ、それより。具体的な金額ね？
　これだよ、これ。」

　

ヨイショと、
初任給で私が社長にプレゼントした社長椅子に深々と腰を下ろした。
そして、見たこともないようなドヤ顔をして右手でピースを作る。
　
　
　
「そんなポーズしても、写真なんて撮りませんよ？
　また、社長の部屋に社長の写真が増えるのはごめんです。」
　
　
　
「いや、違うよ！確かに、僕は自分の写真を飾るのが好きだけど…
　って話が逸れてる！」
　
　
　
せっかく深々と腰を下ろして落ち着いたのに、
私の一言で、下ろしていた腰を勢いよく持ち上げる。
　
だってこの部屋。社長の写真でいっぱいだもん。
特に、ピースの写真ね。
社長は、自分が大好きだから(良い意味ね、これは)。
　
自己肯定感がとてつもなく強い。
そう言ったら、イマドキだよね。うん。

　
「ピースじゃないよ… 2000万だよ！分かる？ 2000万円！」
　
　
　
「 … 2000万円… ！？」
　
　
ピースじゃなくて、2000万円の2だったのか…

それにしても、2000万円なんてそんな大金、
　
　
「確かに、家一軒買えますね。」
　
　
　

「でしょ？だから、言ったじゃない。」
　
　
　
　
「まあでも、そんなに報酬が高いのは赤信号ですよ。
　きっと、ヤバい仕事です。」
　
　
そんな大金がもらえるなんて、怪しすぎる。
　
犯罪紛いの依頼じゃなきゃこんな大金、割に合わない。
ボディガードとはいえ、犯罪紛いのことには関わらないのがモットー。
　
　

「断ってくださいね、そんな危険な依頼は。
　は〜今時、そんなのあるんですね。怖い怖い。」
　
　
　
「ほんと、僕もそう思うよ。
　この通帳を見てるとね、桁数これ、間違ってないかな？
　とかね… 心配になってきちゃうわけよ。」
　
　
　
「 2000万円だったら、そうもなりますよね。
　…… え？」
　
　
老眼鏡をかけて渋い顔をしながら、
通帳に記された数字を一生懸命数える社長を見つめる。
　
ちょっと、待って。まさかだけど…
　