勇者御一行様と標の唄 I (ページ6)

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魔導士は彗…隕石のようにページ6

「それで･･･遅刻した方は
いつ…」

とりあえずその方が来ないと
話が進まない。

知り合いなら行動ぐらい分かるだろう、と
思い聞こうとしたそのとき

「あと十秒ォー」

突然、バカでかい声でアルトさんが
何故かカウントを始めた。

「伏せろォっ！何処からくるか
分からんぞ！」

王が叫び、広間の大臣達が青ざめた顔で机の下に隠れてしまう。
何があるのだろうか？

疑問に思いアルトさんに問いかけてみたが
「5秒前」
と、愉快そうで皮肉的に笑むだけで返答はない。

「４秒……３秒」
不安が募っていく

「２ィ……イィチ……ゼロ」
完全に静まる広間
窓から射し込む日の光が眩しい
(色々ありすぎて…もう…何がなんだか…)

「ド────ンッ」

パリ────ンと澄んだ音がする。
キラキラと光が散り、舞う。

さぞ美しかっただろう。それが

王宮の装飾である高価なステンドガラスでなければ

「真打ちは遅刻して現れる！」
箒に乗った少女がそこにいた。
(だ─れ─で─す─か───ぁ！)

「アルトン、おはよ」
「おう、カリナおは…」

「やくねぇよ！！」
アルトさんが何か石礫のようなものを投げつけ、それが少女に命中してしまった。
結果、少女は落下。痛そう。

「ったくよ…バカなのかね？大事な日に遅刻、欠席、早退は当たり前
毎度毎度、迷惑かけてこのバカリナが！」

容赦ない言葉責めを受けるも反省の様子はなく、
むしろ嬉しそうに笑っている。
なにこれこわい。

「………あの、そちらの方は……？」
若干空気になっていたので聞いてみた。
無視しないで戴きたい。

「このバカはかの有名なカリナ･ゾロアスター殿でーす」
「バカ言うな」
「バカだろ」

夫婦漫才的なものを二人がしていると
自分の背後から人の気配がする。殺気だ。

「バ～カ～リ～ナァ～？」

振り返ると青筋を立てた大臣(と言っても
まだ若そうだが)が立っていた。

因みに、先に言ってしまうが
これからこの青年とも長い付き合いになる。