勇者御一行様と標の唄 I (ページ5)

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始まり(仮) ページ5

「どーも､俺のあだ名はアルト
職はアサシン兼怪盗､性別不明､
初対面のヤツに刃物つきつける非常識者でーす｡以後お見知りおきをー」

何があった。

事の発端はこの貧弱な王の所為だ。今更どうこうするつもりなど自分にはないけれど、弁明だけはさせてほしい。

･･･自分の所為ではありません。

～～～～

本日は王宮にて今期勇者任命式があるのだ。

｢あぁ･･･陛下に認めて頂けるなんて。こんな喜ばしいことは･･･！｣

歓喜のあまり、心中の思いを口に出しながら道を行く。

向かうはこの国の中心──王宮

～～～～

｢お主を今期の勇者に任命する｣

シン･･･と静まりかえった広間に威厳ある王の声が響く

｢ありがたく存じます。陛下。｣

礼式通りに深々と頭を下げる

騎士の礼だ。床に片膝を付き左手を膝の上へ伏せる。命を賭す、の意味を込めて開いた右手を心臓の位置へ。

次は5人組パーティーの式。

台詞を心の中で復唱しながらゆっくりと顔を上げる。

普通ならここで王の後ろに4名、そろっている筈だ。

しかし─────

(･･････誰も、いませんね。)

｢･･･恐れながら陛下。パーティーの方々、誰もいらっしゃらないようですが･･･｣

恐る恐る声を出す。その際、近衛兵に睨まれた気がしたが鋭い眼力になど屈しない！

「他のメンバー?一人は貴様の真後ろに居るし､もう一人は遅刻､あと二人は決まっておらん!」

しかし降ってきたのは思わぬあっけらかんとした声と台詞だった。

それにしても･･･後ろ･･･？

その瞬間、首筋にヒヤリとしたものが当たる。

ヒッと息をつく間もなく話は冒頭へ。

～～～～

｢遅刻者は･･･あれだ･･･友達？みたいな奴。｣

(さっきから絶対に会話が可笑しい･･･！！)

さっきから目の前でヘラヘラと笑いながら言うのは、どうやら同じパーティーの方らしい。

｢他の二名の方は決まっていらっしゃらないようですが･･･｣

｢んあぁ･･･決まってないみたいだね。でもよく分かんなーい。｣

(･･･すでにこの旅に不安しか感じない･･･！)

ソラの欠片が降ってくるまで、残り25秒。