ど ページ26
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帰りに後輩くんと買い物へ行った。
色々見たが、彼は女物ばかりを持ってくるから困るものだ。ジェイドくんがそんなに可愛らしいハンカチを使うわけがない。
「その人、難し過ぎじゃないですか?服も人から貰いたくないなんて」
『いや、サイズが無いんだよ本当に』
「身長何cmなんですか」
……言えない。190cmなんて。
上手くはぐらかそうとするが、彼は気に食わなさそうに眉間に皺を寄せたまま。うわ、このままじゃ恋人に愛想を尽かされるだけじゃなくて後輩からの信用も失いそうだ。
『あ、あれ良いね!かっこいい』
「それ、先輩が好きなだけじゃないですか」
『あはは、そうとも言う』
指を差したのは、シルバーのキーホルダー。鍵とかに付けたら丁度良さそうだ。でもこれを払ったらジェイドくんへのプレゼントの軍資金が減ってしまう。
どうしようかな、と考えながらじろじろと眺めてると、さっきまで居なかった後輩くんが横から顔を出してきた。
「まだ見てたんですか。好きですね、それ」
『え、俺そんなに長い間見てた?ごめん。次の店行こっか』
「遅いと置いて行きますよ」
相変わらず冷たい態度だ。
しかし、彼は俺を置いて行かないためか腕を掴んできた。嫌われてはいないのかな。
そんなことを考えながら次の店へと行った。次のお店はオシャレなアンティークが並んでいる。
余りこういう店は来ないから何だか落ち着かない。一方、後輩はいつもと同じ対応だ。やっぱりモテ男は違うのか。
ゆっくり店内を歩き見渡していると、一つだけ目に付くものがあった。
一目見た時、これだと思った。
『俺、これにする』
「……それですか?」
『絶対にこれにする』
青色の宝石が海のように綺麗なピアス。小さいウツボもついている。これはジェイドくんとしか思えない。
左耳の方は何も無いし、そっちに付けてもらおうかな。
断言した俺に対して、後輩くんは「そうですか」とあっさりと放った。
『ここまで付き添ってくれてありがとう。あ、折角だから先輩が奢ってやろう』
「一番高い焼肉店行きましょう」
『ちょ、先輩、貧乏だからやめて!』
焦って彼を止めると、ふっと笑い声が降ってきた。見上げると、無表情だった彼は目を細めていた。
「冗談ですよ。先輩」
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きのこ(プロフ) - いいさん» 胸の温かくなる言葉ありがとうございます!そのように言って頂き本当に嬉しいです…!これからも精進して参ります! (2022年3月20日 23時) (レス) id: 31fd81a9ec (このIDを非表示/違反報告)
いい - ありがとうございます!すごい世界観や書き方かどストライクで…!嬉しいです! (2022年3月20日 21時) (レス) id: 03be76b48c (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - いいさん» 配慮が足りず申し訳ありません。普段は「どぽぽ」という名前で活動してます。ツイートのリンク貼っておきますね! https://twitter.com/dopopo_imo/status/1396527957347225600?t=zT7e7KTYnCwdfljKcXKl_Q&s=19 (2022年3月20日 19時) (レス) id: 31fd81a9ec (このIDを非表示/違反報告)
いい - すみません、本垢はどちらにあるのでしょうか… (2022年3月20日 12時) (レス) @page3 id: 03be76b48c (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - 水の飴さん» 完結して1ヶ月くらい経ってましたから、気付いて頂き有難いです!いやぁ、本当に天使かってくらい可愛いですよね。これからも幸せに、と作者も思います。コメントありがとうございます! (2021年5月16日 19時) (レス) id: 78f355f2dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きのこ | 作者ホームページ:
作成日時:2021年5月4日 21時