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ハーツラビュル寮へ行くと、早速寮生は僕が足を踏み入れたことに騒ぎ始めた。しかし正直今は雑魚の様子を疑っている場合ではない。

リドルさんの案内通り、彼の部屋の前へ行く。




「Aさん。ジェイドです。お話したいことがあります」




コンコン、と扉をノックするが返事は無い。まるで誰もいないかのように静かだ。




「Aさん」

『……どちら様でしょうか』

「ジェイド・リーチです。貴方の彼氏です」

『聞き覚えがない名前です。お帰り下さい』




これは意地でも白を切るつもりだ。
しかし、彼の声に少し安心した。泣いてはいないようだ。リドルさんの言う通り彼が涙ぐみながら声を出していたら僕は今この場で切腹しただろう。




「Aさん。先程の言葉は嘘です。本当に申し訳ありません」

『宗教の勧誘でしたらお引き取り下さい』




本当に聞く気の無いようだ。
寮内に宗教の勧誘が来るわけないだろう。




「Aさん、好きです」

『N〇Kの訪問ですか?』

「いえ、貴方の恋人です」

『執拗いです。警察に通報しますよ』




駄目だ。全く僕の言葉を聞き入れない。

しかし彼の様子からすると、いつも通り押せば流されてくれる。彼は押しに弱い男だ。それを今まで利用した僕は本当に悪い男だが、彼に嫌われる位ならば手段を選ばない。




「好きです。愛してます。Aさん」

『新聞は取るつもりないので』

「貴方はまるで天使のようです。時々見せる笑顔はまるで花弁を開いた秋桜のようで可愛らしいです」




急に口説き始めた僕に、彼は黙った。

そうだ。彼は可愛いやら好きやら言われるのを嫌がる。それは他の生徒に自分達の関係がバレたくないからだ。男同士ということで蔑まれるのが怖いから。

そんなの誰にも言わせないのに。




「好きです。愛してます。僕はAさん以外に愛を囁きません」

『煩い!!周りの目を考えろよばか!!』




扉が開いた瞬間、身を乗り出して怒ったAさん。
彼の姿を目の当たりできて、安心し思いっきり抱き締めた。




は→←口



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きのこ(プロフ) - いいさん» 胸の温かくなる言葉ありがとうございます!そのように言って頂き本当に嬉しいです…!これからも精進して参ります! (2022年3月20日 23時) (レス) id: 31fd81a9ec (このIDを非表示/違反報告)
いい - ありがとうございます!すごい世界観や書き方かどストライクで…!嬉しいです! (2022年3月20日 21時) (レス) id: 03be76b48c (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - いいさん» 配慮が足りず申し訳ありません。普段は「どぽぽ」という名前で活動してます。ツイートのリンク貼っておきますね! https://twitter.com/dopopo_imo/status/1396527957347225600?t=zT7e7KTYnCwdfljKcXKl_Q&s=19 (2022年3月20日 19時) (レス) id: 31fd81a9ec (このIDを非表示/違反報告)
いい - すみません、本垢はどちらにあるのでしょうか… (2022年3月20日 12時) (レス) @page3 id: 03be76b48c (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - 水の飴さん» 完結して1ヶ月くらい経ってましたから、気付いて頂き有難いです!いやぁ、本当に天使かってくらい可愛いですよね。これからも幸せに、と作者も思います。コメントありがとうございます! (2021年5月16日 19時) (レス) id: 78f355f2dd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きのこ | 作者ホームページ:   
作成日時:2021年5月4日 21時

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