て ページ8
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目が覚めた。薬品の匂いを嗅ぎさっきまでの状況をぼんやりと思い出した。
そういえば、ウツボ野郎と海老が戯れて五月蝿いから耳を塞ぎながら布団の中に潜ったんだっけ。
それにしても保健室なのに暑苦しい。何でこんなに窮屈なんだ。苛立ちながら寝返ると、隣のでかい図体の奴と目が合い固まる。
『ひっ、な、何でいんの?』
「あ、おはよぉ、サメちゃん」
何故か俺の布団の隣にウツボがいた。驚く俺を見てどこか満足げな表情を浮かべている。
え、どういうこと?普通にこの状況が理解出来ない。お前、俺のベットと監督生のベット間違えて入ったの?いや、でもコイツは確かに「サメ」と言った。だから俺。
……あ、そうか。これは夢ですね。はい。
『あは、夢にまで出てくるとかうざ』
「ん、なんか言った?」
『別に。体でかくて狭いから退いてよ』
夢だからといって甘えたら駄目だ。現実に戻った時に死にたくなる。
彼は俺の言葉を聞いても無視した。全く聞く耳を持っていないようだ。あー、夢でもそんな態度なんですね、ハイハイ、ウザイわ。
まあいいよ。幻相手にイライラしたら駄目だ。どうせなら反撃してやろう。
ぽすっと彼の体に抱きついた。その瞬間、彼の体は硬直する。目を見開く彼の瞳に満面の笑みの俺が居る。
『ははっ、嫌いな野郎からのハグだよ。ざまぁみろ』
そして俺は再びすっと穴に落ちたように眠った。
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沈むように寝入った彼の髪を撫でる。
柔らかい猫っ毛。自分とは大違いだ。
無防備な寝顔が赤ん坊のようにあどけない。嗚呼、今首筋を噛んだらどんな風に表情を変えるのだろう。でもそれはまだダメだ。どうせ口煩く文句を言うだけだろうし。
「……はぁー。本当に馬鹿だねぇサメちゃん。素直じゃなくて可愛くない。でも、俺はそんなと」
「フロイド先輩?」
後ろで寝ていた後輩が俺を見て首を傾げる。
パッと彼の頭から手を離し笑顔を向けた。
ほんと、うざ。
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きのこ(プロフ) - 天さん» ありがとうございますー!!作者の需要の無い解釈まで読んで下さりありがとうございます!面倒臭いやつですよね笑激しく同意です。 (2021年1月25日 18時) (レス) id: 4f05699535 (このIDを非表示/違反報告)
天 - 遅くなりましたが、もしもの話読みました。ジャミルもフロイドも好きなので嬉しかったです。バッドエンドの理由がジャミルらしくて、やっぱり面倒臭いやつだなと思いました(笑) (2021年1月25日 16時) (レス) id: 5c82add3f1 (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - 緋にゃんさん» リクエストありがとうございます!良いですねd(≧▽≦*)ストーリーが思い浮かんだら、是非投稿したいですー!! (2021年1月20日 22時) (レス) id: 4f05699535 (このIDを非表示/違反報告)
緋にゃん(プロフ) - もしもジャミルの方に惚れたらとかの番外編?とか読んでみたいです! (2021年1月20日 22時) (レス) id: 152c3eadfc (このIDを非表示/違反報告)
きのこ(プロフ) - 天さん» 分かります。やる時はやる、そんな監督生ちゃんが好きですー!夢主くんは自分が恋人という幸せに結構浮かれてますね笑良かったね、と心温まります笑最後のエーデュースは次作の方がエースメインなので匂わせ風に入れてみました!最後までありがとうございます(*´▽`人) (2021年1月20日 19時) (レス) id: 4f05699535 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きのこ | 作成日時:2021年1月13日 0時