0章_第9話:兄離れ ページ10
「……A」
「あ、えっと、校内ではちゃんと男の子のふりをして生活するから大丈夫だよ!」
「違う」
「え?…あ!勉強ならちゃんと予習してきたから!」
「違うんだA」
兄様がそう言うとついに笑いを堪えきれなくなったリリアが腹を抱えて爆笑しだした。
「っくく……もう、…もうその辺にしてやっておくれA…っ」
「リ、リリア……なんで笑ってるの?」
「マレウス、お主が居ない間にAは兄離れの用意が出来たようだぞ?あぁ、久々にこんなに笑ったのう」
リリアの言葉にショックを受けたのか、兄様は少しふらつきながらソファーに座った。
「若様!大丈夫ですか!?」
「これセベク。マレウスは最愛の妹の式典に出られなかった挙句その妹に兄離れ宣言をされてショックを受けておるのだ。そっとしておいてやらんか」
「はっ、申し訳ございませんリリア様!!」
兄様が思ったよりショックを受けていたので今夜は一旦解散になった。兄様、そんなに嫌だったのかな…。
「お嬢様!今後の学校生活で困ったことがありましたらこのセベクに……後、そこのシルバーになんなりとお申し付けください!!」
部屋に戻るだけだというのにセベクとシルバーはわざわざ送り届けてくれるらしい。
兄様の側にはリリアがいるから大丈夫だろうけど……。むしろリリアじゃないと兄様の相手は出来ない。
「じゃあ早速お願いがあるんだけど」
「はい!!」
「お嬢様って呼ぶのやめて欲しい」
「はい!!……はい!?」
「…承知しました。A様」
「おいシルバー!貴様!!」
シルバーはかなり素直な子だ。
…元々私とシルバーとは知り合い関係だ。
まぁこんな形で学校に一緒に通うなんて思ってもなかったけど。
私自身引きこもり生活を送っていたので兄様の関係者全員を把握しているわけではない。セベクはギリギリ記憶にあったが、いつどこで知ったのかは覚えていない。
「A様がお望みならこう呼ぶしかないだろう」
「し、しかし…」
「お願い、セベク…。私、男の子として生活するのにセベクがお嬢様って呼ぶと私が女だってバレるかもしれないよ」
「…若様の妹であらせられるお嬢様に近付くゴミ共が増えるという事ですか!?」
「そうは言ってないけど……」
「わかりました、今後はA様と呼ばせていただきます!!」
「…う、うん」
セベクは少々熱くなりすぎるところがあるみたいだけど、明日から大丈夫かな…。
42人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時:2020年5月21日 1時