0章_第4話:入学式 ページ5
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ガチャリ、と何かが開く音が響く。
「…………ん、ここは…」
目が覚めると私は見知らぬ場所にいた。
横には沢山の棺が浮いてる…ここはきっと“ナイトレイブンカレッジ”だ。
黒い馬車に乗って連れてこられて…嗚呼、私本当に入学するんだ。
入学の知らせが届いたあの日から今日という日が待ち遠しくて…なんだか子供みたい。
兄様から見れば私なんて赤ちゃんみたいなものだろうけど。
…ウィッグをかぶってるせいで首元がスースーする。
使用人に頼んで少しだけ髪は長い感じにしてもらったけど、男の人っていつもこんな感じで生活してるのか…。ズボンも落ち着かない…。
慣れない格好のせいでもたもたしていると、後ろから赤毛の少年に「そこの君」と話しかけられた。
「君、新入生はここの後ろに行くように」
「…!は、はい!ありがとうございます!」
コツコツとローファーの音を響かせながら足早に新入生のいる場所へ向かうが、その途中で他の生徒達にじろじろと見られているような、そんな嫌な視線を感じた。
どうやら私は最後の方に来てしまったらしい。
…だからと言ってそんなに見ないでほしい。
はぁ…こんなに大勢の人に見られるなんて生まれて初めてだ。
「さぁさぁ、皆さんお待たせしました。入学式を始めますよ!」
学園長の合図で入学式が始まる。
あれだけ楽しみだったのに人が多過ぎるせいで気分が悪い。目眩がする。
早く終わって欲しい…。
どれくらい時間が経っただろうか。やっと長い話が終わって寮分けの儀式に入った。
兄様はディアソムニア寮だ。私もきっと…いや、絶対にその寮に行く。
『___ハーツラビュル』
『___サバナクロー』
…なんとなくだけど、ディアソムニア寮に分けられる生徒が少ない気がする。
もし別の寮に分けられたらどうしよう…兄様に合わせる顔がない…。
「そこの貴方、前へ」
学園長に呼ばれ、私は闇の鏡の前に立つ。
どうか兄様と一緒の寮にいけますように…。
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作成日時:2020年5月21日 1時