0章_第18話:戦い ページ19
『オ゛レ゛ノ゛…ダアアアアアアアアアア!!』
「嘘だろ!?あんだけの重しを全部押しのけて追っかけてきた!」
「くそっ……このままじゃ追いつかれる!」
「…でも、だいぶ弱ってる!今なら!」
「ユ、ユウ!?正気!?」
「正気だよ!」
私達はともかくユウはどうするの?
魔法を使えない人間がどれほど弱いかなんて、リリアに教わらなくてもわかる。
…どうしてユウは怖がらないの?
「っ……」
「…!」
……違う。ユウは怖がってないんじゃない。
何よ。人間なのにどうしてそんなに強がるの?
怖いって言えばいい。助けてって言えばいい。
恐怖から目を背けたらいい。
瞳を閉じて外を拒絶する事が幸せだって兄様は言っていた。
なのに……どうして…。
「あーっ、もう!やったろーじゃん!チビってんじゃねーぞ、真面目クン!」
「お前こそ!」
「オレ様の真の力、見せてやるんだゾ!!」
ここまできたら引くに引けない。
……私も戦わないと。逃げることが許されない状況なんて、きっとこの学園に来なきゃ味わえない状況だ。
「行くぞっ!オレの魔法を食らえ!!」
「ふな゛〜!!どうだ!オレ様の特大魔法は!」
「危ないぞ!よそ見をするなグリム!!」
一旦バケモノは彼らに任せて、私はユウを安全な場所に…
「っ!!危ない!!」
「避けろお前ら!」
デュースとエースの声を聞き後ろを振り返ると、もうあと数十cmのところまでバケモノの巨体が近付いていた。
もしこの巨体がユウにのしかかったら?
もしこのバケモノの攻撃がユウに当たったら?
__私が、私が助けないと。
「ユウ!僕の後ろに隠れて!!」
「A……っ!」
鈍い音を立ててバケモノの攻撃が私に当たる。
…これくらいで倒れてたまるか。私は兄様の妹だ。例え出来損ないでも、欠陥品でも役に立てるんだって証明してやる…!
私は胸元に入れていたマジカルペンを天にかざした。
…大丈夫。私なら出来る。力を抑えればいいだけだ。
それにこれはユニーク魔法じゃない。だから“アレ”は進まないはず。
私の念じる想いに反応してマジカルペンに埋め込まれた魔法石が怪しい黄緑の光を放つ。
「皆!目を閉じて!」
「彼らに手を出した事を後悔しろ…!」
あたり一面に生い茂っていた木々が一瞬にして枯れ木へと変わる。
植物は枯れ、生き物は死に絶え、この世の光ある者達が忌み嫌う闇の魔法…
これが私の魔法だ。
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作成日時:2020年5月21日 1時