悪役少女は捻れた世界で何を想う【twst】 (ページ13)

今日:3 hit、昨日:2 hit、合計:33,249 hit

０章＿第１２話：初めての昼食ページ13

「…最初からそのつもりだったんだが…違ったか？」

デュースはぽかんとした表情で私を見つめる。
最初から……ってことは、私が誘う前から…？

「ほ、本当か？」

「あぁ、もちろんだ。早く行かないと人気メニューが売り切れるぞ？」

「い、行く！！」

私は勢い良く椅子から立ち上がりデュースについて行った。
今日はなんて素晴らしい日なのだろう！

「さっきから物凄い嬉しそうだけど、どうした…？」

「…聞いても笑わない？」

「勿論」

「僕、友達がいなくてずっと一人ぼっちだったんだ。兄様…んん、兄さんはいたけどさ」

「そうなのか…？まだ出会って数時間しか経ってないが、嫌われる要素は見当たらないが…」

「嫌われるというか、それ以前の問題というか……。そもそも家から出してもらったこともなくて…」

「はぁ！？それって虐……いや、なんでもない」

「だからデュースが初めてなんだ。こうやって食事を一緒にするのは…」

私が少ししんみりした表情でポツポツと語ると、デュースが瞳を潤ませて私の肩を勢い良く掴んだ。

「A…今日はいっぱい食おう！お前の好きなところに行ってお前の好きな物を食おう！」

「ほ、本当？じゃあ…購買部って所に行ってみたいな」

「…購買？いいのか？食堂の方が腹は膨れるぞ？でもAがいいならそっちでいいか」

デュースに連れられて購買部へ向かう。
なんというか…独特な雰囲気だ。見たことのないものが沢山ある…。
色んなものがありすぎて目移りしてしまうが、変なもの食べて後からセベクに叱られるよりは無難な食べ物を選んで口にした方がいいだろう…。

「Aは何にするか決まったか？」

「うん、チョココロネ…ってやつにした」

「そんな菓子パン１つで腹が膨れるのか…？」

「僕は小食だから、逆にいっぱい食べると体調が悪くなるんだよ」

「そうか……まあAがそれでいいなら僕は構わないが…。今の時間なら大食堂も空いてるだろうしそこの椅子借りて食うか？」

「わかった、早く行こう！」

デュースの言う通り大食堂にいる生徒は比較的少なく、すぐに空席が見つかった。
運良く奥の方で二席空いており二人でそこに座り昼食を取る。
チョココロネというのは初めて食べたがとても美味なものだった。クセになりそうだ。

「美味しいな、デュース！」

「……あぁ」

子供のようにパンを頬張る私をデュースは微笑ましそうに見つめていた。