０章＿第１１話：クラスメイト ページ12
「……勢いで飛び出したのはいいけど、ここ何処だろう…」
やっぱりセベクについてきてもらうべきだったかな……。
名門校なだけあってやっぱり校舎が広い。皆よく迷わずに行けるなぁ。
「はぁ……１年Ａ組って何処なの…？」
私は大量の教科書を抱えながら右手に持った地図と睨めっこする。
決して方向音痴などではない。
きっと生まれた頃から塔の外に出た経験がないのが問題なのだ。
足が痛い……早く椅子に座りたい……。
「うわっ！」
し、しまった…！
地図ばかり見ていたせいで前を見ていなかった…。
「っ…す、すみません！」
「いや…大丈夫だ。…ん？お前も新入生か？」
「…？そうだけど…」
「自己紹介が遅れたな。僕はデュース・スペードだ」
青髪の少年は座り込んでいた私に手を差し伸べながら自己紹介をしてくれた。
「わ……僕はA・フィーロ。ディアソムニア寮の一年だよ。さっきは僕の不注意のせいで迷惑を…」
「いいって、別に怪我もしてないしな。それよりお前、何組だ？」
「僕は１年Ａ組だけど……教室が分からなくて」
「丁度いい、僕も同じクラスなんだ。よかったら一緒に行かないか？」
「…いいのか？」
「あぁ、遠慮はいらない。一緒に行こう」
初対面の相手にここまで良くしてくれるなんてデュースはいい人だ。
「ほら、ついたぞ」
「ありがとう、デュースがいてくれて助かったよ」
「そ、そうか？僕は誰かの役に立てたのか……よし、この調子で頑張るぞ…」
「…？何言ってるの？」
「いや！なんでもない！早く教室に入ろう。授業が始まってしまう」
デュースと私の席は幸いにも近く、入学早々良い友達が出来てとても嬉しい。
…友達、って呼んでもいいのかな。距離感がイマイチわからない…。だって友達の作り方とか習ってないし…。
「＿＿い。おい！A！」
「っ！な、何？」
「もう昼だぞ。ぼーっとしてたら昼飯が食えないだろう？」
もうそんな時間か…。
昼食…どうしよう。大食堂って所か購買って所で食べ物を買うって聞いたけど…。
…デュースと一緒に食べたい。でも急に誘って変に思われないだろうか。
もしかしたら同郷の友達と既に約束してたりするのでは…？
ええい、こうなったら一か八かで…！
「な、なぁデュース」
「ん？どうした」
「…一緒に、昼食を食べないか？」
言えた…！生まれて初めて誰かを食事に誘った！
しかも茨の谷以外の人を！私もやればできるじゃないか！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 42人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ツイステ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時：2020年5月21日 1時
