おいでよ鬱探索者の森 (ページ23)

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視点：操羽彩艶

あれから少し経って。
そういえばお風呂も何も入ってないよね、なんてことになって、お風呂を借りた。夕飯はお客様とのおつきあいでもう食べてある。とても美味しかったのだけれど、理央さんはそこまででもなさそうで少し心配だったけれど。

「はぁ…」

湯船に身体を沈めてため息をついた。

全体的に平坦で、あまり起伏のない身体が目に入る。女性らしい魅力は感じられなくて、なんだか悲しくなってくるな。
こんな身体を抱いて何が楽しいと言うのだろう。

そんな思考を振り払おうと湯船からあがって、ボディソープを泡立てる。
家のとは違って、淡くいい香りがする。
ふわふわとした泡は心地よくて、鬱々とした気分も晴れてきた。
私は髪が長いから…シャンプーの消費が半端じゃない。恋人とはいえ沢山使ってしまうのは申し訳なくて、いつもの半量くらいで洗った。泡立ちが良くて半量で十分だったから驚いた。

服は、理央さんが用意してくれたらしい。

…体格は理央さんの方がいいからかな。首回りが少し緩い。
まぁ寝間着だから、大丈夫だろう。

「お待たせ、理央さんどうぞ」

リビングではたはたと扇子を扇いでいた理央さんの手が止まった。

「彩艶ちゃん…」

「どうかしたかい？」

「なんでもないわ、大丈夫よ」

何故だかわからなかったけれど、彼はにこっ、と微笑んで浴室へと消えていった。

「…？」

とりあえずドライヤー貸して貰おうかな。
……駆動音の静かなタイプ。機種を覚えておこう…

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恐ろしいほど髪がさらさらなんだが…
香りと洗い上がりを天秤にかけて悩んでいると、ふと、思い浮かんだ単語があった。
そう、香りで思い出した、甘い香りの正体。

強姦されたときに、ケーキバースと呼ばれるモノを知った。
ケーキ、フォーク、その他に人を分け、フォークはケーキを補食する。なにも肉だけではなく、フォークにとってはケーキの諸々全てが甘く感じられるらしい。

私はケーキらしい。喰われる方。
じゅるじゅると体液を吸われて気持ち悪かった記憶しかないけれど。
フォークは、後天的になるもの。ケーキ以外の物に対する味覚が無くなって、ケーキを喰うようになる。

夕飯の時の、理央さんの反応の薄さはそういうことか。