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『"おはよう"って言い合えること、かな』
北村「…それが俺のあげたモノ?」
まもなく二度目の眠りに落ちそうな匠海が閉じていた瞼をゆっくりと開いて上目遣いで訪ねてくる。
『それだけじゃないよ。
仕事で疲れた時は温もりをくれて、
悲しみを分け合えて、喜びを笑い合えて、幸せを共有できる。
そんな当たり前を沢山貰った』
頭にはてなが浮かんでいた匠海だったが、
直ぐに勘づいたのか、身体を起こして私の右手をそっと握った。
長い睫毛から覗かせた大きい目が私を捉える。
北村「Aが、同じことばっかりの毎日で幸せを見つけられるのって、失う怖さを知っているからだと思う。
___人って、怖さを知った分、強くなれるし、弱くもなるから。」
『私の場合は…ただ痛みに慣れちゃっただけなのかも』
なんて情けなく笑うと匠海は眉毛を下げて
声のトーンを落とした。
北村「それは無理だよ。
何度だって胸は痛むし、涙は永遠に渇れない。
だからこそ隣に誰かがいて欲しいって願うんだと思う。
____...俺も、そうだから。」
きっとこの先も
数え切れない程のものを失って
押し潰されそうな苦悩を背負って
その度に逃げたくなる弱さと葛藤するけど
戦う強さごと抱きしめて
何も言わずに側で笑ってくれる匠海がいるなら
なんだか生きていけそうな気がするから。
『乗り越えようね、二人で』
不安気な顔をする匠海の頬に触れると、
彼は安心しきった微笑みを見せ、手を重ねた。
私の再生ボタンを押してくれた人。
私の"大丈夫"で居続けてくれた人。
これからも、この先も、
きっと、ずっと、
Re start..
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sun.(プロフ) - kairaさん» 素敵なコメント有難うございます!嬉しすぎる感想に胸が熱くなりました^ ^ お楽しみ頂けて何よりです!是非次作もよろしくお願いします( ; _ ; ) (2021年2月24日 0時) (レス) id: 379caf651b (このIDを非表示/違反報告)
kaira(プロフ) - 初めてコメントを残します…言葉選びと表現の仕方、全てが私の好みどストライクで、ああ、こういうの分かるなあ、と共感できるシーンも有りました…素敵な作品に出会えて良かったです!実は主さんの他の作品も楽しく拝見させて頂いてます!これからも何卒…(笑) (2021年2月22日 23時) (レス) id: f4f52a46c3 (このIDを非表示/違反報告)
sun.(プロフ) - かなこさん» とても嬉しいお言葉ありがとうございます!どうか最後までお楽しみ下さい!^ - ^ (2021年2月3日 22時) (レス) id: fdf2e968fa (このIDを非表示/違反報告)
かなこ - 面白くて話に引き込まれちゃいました! 匠海くん切ない(T . T)匠海くんと上手くいって欲しいなぁって思いながら見てます(><) (2021年2月3日 6時) (レス) id: deb6ae52c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:sun. | 作成日時:2020年12月16日 22時