43 # takumi ページ43
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北村「静かだったから、また寝てるかと思った」
ソファの上で体育座りをする彼女を傍目に
床に腰を下ろした。
北村「どうぞ」
『…何でココア？』
北村「疲れには糖分でしょ？」
彼女なりに疲れを隠しているつもりなんだろうけど、痩せた身体と無理して作る笑顔は見ているだけで胸が痛む。
『あれ、綺麗にしてくれたの？』
北村「あ〜、土は何とかとれたけどどうしてもシミが取れなくて…洗濯機回すにも時間遅いし」
家に入るなり、土まみれの床の側で横たわる彼女を見た時は心底焦った。
彼女が寝ていたから掃除機もかけられずに
ただ土を落としただけのラグには頑固な土汚れが染み付いていた。
『植木もスッキリしてる』
北村「それはね、あれ」
窓際には一つ、寂しそうに空いた花瓶があった。
すぐ側に枯れた花びらが落ちていたからクランクアップの花でもさしていたのだろうか。
北村「あの花瓶空いてたから、ちょっとだけ先切って入れといた」
『へぇ…全然違う物みたい』
北村「何が？」
『あの花瓶ね、前までとっても豪華な花束をさしてたの。鮮やかな草木をさすとまた味がかわるんだね、
…前のも、今のも、どっちも素敵だね』
そう言って笑うAが
どうしても無理しているように見えた。
"彼女の笑顔が強ばり始めたのは俺のせいだ"
そう確信したのはあの記事を見た時だった。
写真に写った、菅田さんと笑い合うAは
とても幸せそうで、輝いていた。
告白した時に守ろうと決心した、
あの日の笑顔だった。
彼女と付き合えて、側にいれて、幸せだった。
こんなにも幸せだったんだから、きっともう充分。
…これ以上なんて望んではいけなかったんだ。
あの日、約束したから。
彼女が彼女でいるために。
北村「別れようか」
笑顔も声も香りも、
彼女の全てがこんなにも愛おしいのに
終わりを告げるのは、あまりにも残酷だ。
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sun.(プロフ) - kairaさん» 素敵なコメント有難うございます！嬉しすぎる感想に胸が熱くなりました^ ^ お楽しみ頂けて何よりです！是非次作もよろしくお願いします( ; _ ; ) (2021年2月24日 0時) (
レス) id: 379caf651b (このIDを非表示/違反報告)
kaira(プロフ) - 初めてコメントを残します…言葉選びと表現の仕方､全てが私の好みどストライクで､ああ、こういうの分かるなあ、と共感できるシーンも有りました…素敵な作品に出会えて良かったです！実は主さんの他の作品も楽しく拝見させて頂いてます！これからも何卒…(笑) (2021年2月22日 23時) (レス) id: f4f52a46c3 (このIDを非表示/違反報告)
sun.(プロフ) - かなこさん» とても嬉しいお言葉ありがとうございます！どうか最後までお楽しみ下さい！^ - ^ (2021年2月3日 22時) (レス) id: fdf2e968fa (このIDを非表示/違反報告)
かなこ - 面白くて話に引き込まれちゃいました！ 匠海くん切ない(T . T)匠海くんと上手くいって欲しいなぁって思いながら見てます(＞＜) (2021年2月3日 6時) (レス) id: deb6ae52c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sun. | 作成日時：2020年12月16日 22時
