転生したら、爆豪勝己の幼馴染になっていた。2 (ページ9)

今日:37 hit、昨日:15 hit、合計:10,837 hit

第55話ページ9

Katsuki Bakugo side

Aが泣いてるのを俺は久しぶりに見た。

初めて見たのは10年前、あいつの親の葬式で俺が寄り添ってやった時だ。

あれからAはあまり笑わなくなった。まるで感情が無くなったかのように。

親を亡くす前は、柔らくて優しい微笑みを向けていた。

そんな笑顔に俺は惚れた。だが、親を亡くしてからは、俺がいくら笑わせようとしても無駄だった。

そんな風に今まで喜怒哀楽も何もなかったAが今日は…。

A〈…無事でよかった…！本当に心配かけて…！〉

と泣いて抱き着いてきた。

俺がクソヘドロ敵に襲われたことを速報で聞きつけて、すげぇ走ってきたのか息が上がっている。

今まで泣き顔をほとんど見せなかったあいつが泣いた。俺のことを思って。

俺は驚きと動揺を隠せなかった。そんな俺を見て、Aは自分が泣いていることに気付いていない様子だった。

A〈うぅっ…！2人がいなくなっちゃうのかと思って、グスッ、本当に怖かった…！ひっく、いなくならないで…！もう1人にしないでよ…！！〉

あぁ、こいつは1人になるのが怖いんだ。俺は改めてこいつを1人にしちゃいけねぇ、と思った。

勝己〈いなくなんかならねぇわ。当たりめェだろ。…あと、さっきは悪かったな…。〉

さっき学校であった出来事のことも謝ってAの頭を優しく撫でる。すると、Aはもっと大きな声で泣き出した。

Aは俺が一生守り抜く。他のモブどもになんかに守らせてたまるか。こいつを守れんのは俺だけだ。そう誓った。

・

・

・

しばらくたったらAは泣き止み、やっと帰ることになった。

デクに舐めんじゃねぇと怒鳴り散らかし、今はAと帰っている。

A「勝己…。ごめんね、私取り乱しちゃった…。」

Aは泣き腫らした顔でそう言う。

勝己「いんだわボケ。それに昔言っただろ。『俺が守ってやるから、大丈夫だA。辛くなったら、俺を頼れや。』って。」

A「…そうだね、ありがとう、勝己…。」

その瞬間、Aは本当久しぶりに、ほんの少しだけ微笑んだ。