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その日は結局、学校にいくこともできずに……この怪我の量だったら当たり前だろうけれど、過ごした。
翌日。
姉が死んだことで様々な書類に書き込んでいた。祖母ちゃんは老眼だから、と無理して変わってもらった。昨日の祖母ちゃんには助けてもらったから。恥ずかしかったけれど。
「養子……?」
自分の戸籍を見ると「養子縁組」という欄があることに驚く。海の真ん中に放り出されたような呆然とした気持ちが身体中を包み込む。僕と姉さん、祖母ちゃんは血縁者ではなかった……?血の繋がりは心の繋がりより大切で、どうでもいいわけがない。何で教えてくれなかった。僕が信用出来なかった?……でも、今まで過ごしてきた時間は本物だ。嘘と本当がごちゃごちゃになって、全てのものが疑わしく見える。
コト、と杖のつく音が片耳に届く。
「……
なんだい、と不思議な顔をする婆ちゃん。髪も薄く白く、 土気色 の肌に、はっきり刻まれた皺。すらっとした面高の、かつては美人だったに違いない老人。今は婆ちゃんを家族としてみることができなかった。ただの、婆ちゃん。
「……なんで、言わなかったの? 僕が養子だって」
そう、袈裟がけに斬って捨てたと思える言い方で言う。初めてかもしれない。婆ちゃんに怒るのは。苛立ちを覚えるのは。
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作者名:りりぃ x他1人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/yamasita237/
作成日時:2022年1月15日 8時