Vermilion bird ー3ー

94話 ページ22

＊＊


｢紅緒ちゃん,お風呂ありがとう･･･ってあれ？｣



｢化野なら部屋に行ったぞ｣



｢そうですか｣




お風呂から上がり私はリビングへと向かった
そしてテレビを見ていた士門様の隣に座る




｢ちぃ子達はまだ寝ていたか？｣




｢たぶんまだ寝てると思います｣



｢そうか｣



と士門様は言いながら視線をテレビに移す

見極めの儀の後,焔魔堂君と小夜様は天若様や
士門様によって部屋に運ばれて横になっている

焔魔堂君を運んでから天若様と繭良ちゃんは家に帰ったのだ




｢にしても驚きましたね,今日の見極めの儀は･･｣

　

｢まぁな｣



私も士門様程ではないが見極めの儀を見たことがある｡

その時に焔魔堂君のように姿が変わるなんていうのは始めてだったのだ




｢･･･たぶん,焔魔堂のあの姿は双星だけが持つ力の1つだろうな｣



｢双星の陰陽師の･･･ですか？｣



双星の陰陽師だけが持つ力とは
二人の呪力を高める『レゾナンス』
『ケガレ墜ち』さえ我が力とするもののことだ

もし,焔魔堂君のさっきの姿がそれとなるなら
紅緒ちゃんもあんな感じになるのだろうか･･･?



｢しかし変だな｣



｢何がですか?｣



私が問いかけると士門様の視線はテレビからこちらに移り,話を続ける



｢よく考えてみろ｡
葛の葉が焔魔堂のあの姿･･呪護者?を見て
『安倍晴明』と言っただろう？｣




｢!!確かにそれは変ですよね｡
安倍晴明が呪護者となるのは,ケガレの闘いに
終止符をうつと言われる『神子』だと言う方が納得いきますしね｣


　

それなのに焔魔堂君の呪護者が安倍晴明だったら色々と腑に落ちない点が出てくる･･･



｢さすがに葛の葉が言い間違えた･･･とかはないでしょうしね｣



｢その可能性は低いだろう｡
そもそも葛の葉が何回見極めの儀をしてると
思うんだ･･･｣




｢･･ですよね〜｣



と私は言いながら手元を見る



｢まぁそれに葛の葉は誰かと違ってそういうドジはないと思うがな｣



｢!またそうやって言ってくるんですね｡
私そんなにドジではないんですが⁉｣



｢何を勘違いしてるんだ？
別にAのことじゃないぞ｣




と言って士門様はニヤッとしている


･･･大体この人がこの顔をするとき,私はいつもからかわれるのだ

本当に士門様はなんでこんなにバカにしてくるのだろうか･･･!?

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