夢と現実とその最初 シンデレラ レトルト 続き ページ5
実は全部夢でした!なんてオチなのかもしれない、と起き掛けにAは思った。
カーテンの無いおんぼろ窓、汚くて固いベッド、ボロボロのエプロンドレス…全部が全部夢でもおかしくない気がしていた。
あの後どうなったんだっけ。確か凄い豪華そうな人と二曲くらい踊って…踊り方わかんないって言ったらリードしてくれたんだっけか。そんで0時になっちゃったから、帰って、そん時に…
「…あ」
ふと思い出し、棚に隠してあった物を取り出す。
金色の、金糸でできたハイヒールだ。
「レトルト、さん…」
そうだ。帰る途中に片っぽだけ落としちゃって…
『えぇ、片っぽ落としたの!?え〜…
うーんまぁ失くしちゃったもんはしゃーない!とりあえず、バレたら大変やからドレスは預かるね!あと髪飾りも!そんで靴…靴…は、あげる。うん。記念記念!あっでもバレないようにだけは努めて。』
この靴だけ貰えたんだ。
何か、記念とか言ってくれたけど。
靴をジッと見つめ、ぼんやりと昨夜のことについて考えていたAだったが、継母の怒鳴り声により、それは阻まれた。
あぁ、何だろう。何か私やらかしたんだろうかとため息をつきながら廊下を行く。
「…どうも、初めまして。」
玄関先へ行くと、知らない男の人が立っていた。
服装とかもしっかりしてるし、後ろに強そうな人がずらっと並んでいるのからして、彼はとても金持ちの人なんだと薄々感じてはいた。
「
「あ…ど、どうも初めまして!A……あ、いやいや、
継母に睨まれおどおどしながらも彼女が応えると、早速ですがと言わんばかりに王子は靴を取り出した。
金糸でできた、ハイヒールだ。
「麗しいお嬢さん、どうぞこれを履いてはいただけませぬか。」
「は、はい…」
それにそっと足をはめると、それはAの足にピッタリのサイズだった。
そのとき彼女は思い出した。これはあの時私が落とした靴で…彼はあの時一緒に踊った人であると。
「なんと!本当に見つかるとは…」
「なっ…嘘よ!こんな灰まみれの娘を王子の妃になんて…!」
にわかに周りが騒ぎ始めた。ありえない、嘘だと次々と声が上がっていく。
…何もわかっていない
そんな彼女に、王子は一言。
「貴女はあの夜一緒に踊ってくれた人でしょう。私の妻になってはくれませんか?」
夢と現実とその最初 シンデレラ レトルト 続き→←夢と現実とその最初 シンデレラ レトルト 続き
10人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
空屋(プロフ) - 新作待ってましたあああああぁ!!童話だああぁ!! (2018年8月26日 11時) (レス) id: 8e09062377 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ