実況者夢小説~童話パロ短編集~ (ページ22)

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絶対に報われない赤頭巾24時　赤ずきん　暴害組　続き　× ページ22

少女はそんな俺を見て、唖然としていた。ほんの少しつった目が見開き、俺を捉えて離さない。赤い帽子はずり落ちて、黒くあまり長くはない髪が首に絡みついていた。

「貴方…は………」

とても聞けるような状況じゃない。お前は俺の妹なのか、とか、血縁関係を気にしている場合じゃない。

ゾムを見下ろす。首に向けて一思いに振り下ろしたナイフは見事に頸動脈を切り裂いていたようで、ピクリとも動かない。まさか、そんな姿をこの目で見ようとは…いや、俺の手で、こんなことにしようとは。

「…ねぇ」

少女の声でハッとなり、顔を上げる。今の自分の顔がどんなに青ざめているか、この目で見ずともわかるようだった。

「お願い」

…そこにいる少女とは、打って変わって

「私を」

優しくも、凛とした、決意を抱いたその表情とは、真逆の顔で

「殺して」

後退った。

「…っ、は？」
「お願い、します。」

キリリとした目には、俺への非難するような意思は込められておらず、寧ろ俺にしか頼めない、と信頼している様すら感じられてしまう。

「…やめろ、俺は…」

違う、本当に違うんだ。

「………人を殺す職業なんかじゃない。」

何かの間違いなんだ、そう、そうなんだよ。そうでもなければ、友達を殺すわけがない。
…そんなわけないだろ、そんな、そんなわけ…

「お願い、そのナイフで殺して。」
「…だから」
「ゾムと一緒のとこに行きたいの。」

凍てついた感情が炙られているような感覚。全部が解けて、堰き止めていた感情が爆発してしまいそうだ。

「…一つだけ」
「…」
「お前の、名前は？」

無気力に、震える手で持ち上げたナイフを、首筋に向けて問う。

「………Aよ、兄さん。」

残酷にもそれを告げた彼女の瞳は、いつぞやの祖母のように、穏やかだった。

24時00分、全てが終わる。