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絶対に報われない赤頭巾24時 赤ずきん 暴害組 続き × ページ21

*・*・*・*

夕刻。空の茜色が漆黒と美しい月明かりに照らされる頃。
兎の一匹すらも狩れなかった俺は、一通り罠を仕掛け終えると、道具を持って山小屋へと歩みを進めていた。…中々気は進まなかったが。

数メートルも登れば見えてくる、最早風雨でボロボロになってしまった小屋。ゾムの活動拠点でもあり、時々お邪魔させてもらっている。

…カーテンが、閉まっている。ぼんやりとした蝋燭の灯だけが見えた。中にいるであろう人影がどこにも見えない。これはただの勘でしかないが、かなり不穏だ。

そっと音を立てないように、窓を細く開ける。

「……!」

息を、呑んだ。



そこにあったのは友の姿。だが雰囲気が明らかに違う。癖のついた茶色い毛並みは乱れ逆立っており、普段は緑色であるその目は灼熱の溶岩のような、沸き上がる血のような色をしていた。ギリギリギリと歯を食いしばり、何かに耐えているようにも見える。

そして、その友が、首を絞め床に押さえつけているのは。
赤い帽子、黒い髪、どことなく尖った緑の目、ワインとパンの入ったカゴ…彼女は、まさか…

「…A………!?」

Aだ。恐らくは。ゾムが言っていた少女そのものだし、風の噂で聞いた情報も合致する。

だが何故こんなところに?いや、こんなことに…?少なくともゾムは彼女のことを気に入っていた筈だ。聞き始めたらかなり長々と似たような内容を話されるくらいには。

「……ゾ…さ…」

バチリと赤い双眸と目が合った。一瞬殺されるか、と思ったが、彼はその場から動かない。
はくはくと、苦しそうに口だけが動く。

「 」

「 」

「 」

ナイフを握り締める手が震える。ダメだ、嫌だと首を振ろうとしたが、苦悶を浮かべた顔が俺を急かす。

「 」

「 」

「 」

赦せ、と誰にでもなく呟く。
ガッチリと握り締めた刃を、俺はその人に向けた。



ドシュッ

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空屋(プロフ) - 新作待ってましたあああああぁ!!童話だああぁ!! (2018年8月26日 11時) (レス) id: 8e09062377 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雛月美鈴 | 作者ホームページ:Nothing  
作成日時:2018年8月23日 17時

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