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どこかの手記 雪の女王 うばまろ 続き ページ14

○月○日
町に下りてみたら、少年が私のことをジッと見てきた。名前はうばまろというらしい。連れて行って、と言ってきたから、お城に連れてくことにした。お城は独りで寂しいから、とっても嬉しかった。

○月×日
町から外れたところに住んでいる魔法使いのおばあさんが、嬉しそうに私に言ってきた。孫ができたのだそう。お子さんいませんでしたよね、と聞いたら勿論血は繋がってないわよ、と笑われてしまった。詳しい話を聞くと、川辺にひとりぼっちでいた女の子を拾ったらしい。とても優しい子で、何でもしてくれる健気な子なのだそう。でもまろにこのことを言ったら、黙っちゃった。

×月△日
最近賊がここらを徘徊しているらしい。この前城の前まで来たけど、まろが頑張って追いやってくれた。ケンカ強いんだね、まろ。

□月×日
この城に誰かが入ってきた。誰かはわかんないけど、大の大人ならすぐに気が付くはずだ。小さな子供が迷い込んできたのかもしれない。見に行きたいけど、まろはどうしてもって言って私を引き留める。何でだろう。

□月△日
×日に来てたのは、女の子だった。Aちゃんっていう、まろのお友達みたい。

彼女は、まろを連れ戻しに来たらしい。
まろは帰るから、ごめん、って言ってたけど、私は嫌だった。だからちょっとだけ謎解きをしてもらうことにした。氷の板を割って、「Forever」の文字を作れたらいいよ、って言った。
ちょっとだけ、後悔してる。


 ・ □月□日
結局、まろは帰ってっちゃった。
お城はまた寂しくなったけど、まろはまた来てくれるって言っていた。


*・*・*・*
そこまで読み終えると、俺は二つの手帳を閉じた。こんなところに持ち込んだのがいけなかったのか、両方とも随分と冷えてしまっている。
ふと鏡を見てみれば、片方の瞳だけが血のように赤くなっていた。

「はぁ…」

ため息をつけば、そこに白い靄が一瞬残る。
最善の選択肢は何だったのか、この件は、今でも深く悩まされた。

毎日ついているはずの日記は、双方とも今年の日付は無い。

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空屋(プロフ) - 新作待ってましたあああああぁ!!童話だああぁ!! (2018年8月26日 11時) (レス) id: 8e09062377 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:雛月美鈴 | 作者ホームページ:Nothing  
作成日時:2018年8月23日 17時

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