強くて儚い魔法。

焦り ページ28

ー降谷sideー


コナン君からAと連絡がつかないと聞いた俺は焦りを堪えながら彼女の自宅に向かった

実はさっき、入院している元組織の男に彼女について聞いてきた

分かった事は二つ。

一つは昨夜四人の少女が彼女について尋ねてきたこと

二つ目は、

男を撃つ時、彼女の髪が少し白くなっていたということ

一体どういう事だ…

俺が会う時はいつもと同じ、

何も変わらないAだ

彼の見間違いとか？


コ｢…駄目だ、やっぱり繋がらない！｣


俺が運転している横でコナン君はずっとAに電話をかけていた

A…何があったんだ…


安｢着いたよ｣


俺はあらかじめ持っていたヒロの鍵を握りしめる

あいつらが死んでから彼女と約束を交わした記憶が頭に浮かぶ


降｢A、頼む…

お前は…お前だけは俺の傍から離れないでくれ…｣


震える手で華奢な身体を抱き締め、

溢れてくる涙を堪える

だが堪えていた涙は細い指で掬われた


『私はずっと零さんの傍にいるよ

私も一人は嫌だもん』


そういやあいつが心から笑ったのを見たのってあれっきりな気がする

しばらくフリーズ状態だった俺は

コナン君が押したインターホンの音で我に返った


コ｢Aさん！いたら返事して！｣

安｢Aさん！ここを開けて下さい！｣


家の中から彼女が出てくる気配はない

だが俺は確かに聞いた

微かに彼女の声がしたのだ


降｢A！いるのか！？｣


俺は鍵を開け、家の中へ入った


コ｢安室さん！？｣

『れ……さ…………』

｢｢！！｣｣


声がした方へ走ると、

リビングの床でAが倒れていた


降｢A！｣

コ｢Aさん！どうしたの！？｣


Aの息は荒く、汗をかいていた


コ｢とにかく早く病院に連れて行かないと！｣

安｢あぁ…｣

『だ、め…』

コ｢え、Aさん？｣

『大丈夫、だから……

気に、しないで……』


おそらく病院に行く事を妨げようとしているのだろう

だが今の状態の彼女を見て、はいそうですかと引き下がれない


降｢全然大丈夫じゃないだろう！

何で、こんな時にまで隠すんだよ…

俺じゃ、頼りないか？

こんな俺じゃ、お前を助ける事が出来ないって言うのか…？｣

『！ちが…』

コ｢安室さん…とりあえず僕達で様子を見ようよ

その方がAさんも安心すると思うよ｣

安｢…あぁ、そうだね｣


少し取り乱しすぎたな、と苦笑する

まったく、今の俺とコナン君じゃどっちが子供なのやら…

A、約束守れよ

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