プロローグ ページ1
少女は、泣いていた。周囲を優しく、酷く残酷なほど儚く照らす、弱々しい紫紺の月光。とろとろと静かに、確実に天地を呑み込んでいく漆黒の闇。この世の終わりのような、闇色の世界。
そんな世界の真ん中で、少女は１人、泣いていた。月明かりの届かない、自分が溶けてしまいそうなくらいの闇に、跪いて。
｢ぁ､､､うぁっ､シレーネ､お母､様､おとぅ、さまぁ､､､っ！ごめんなさい、守れっ、なかった。私、私はっ、どうして、なんでぇ、、、っ！｣
辛そうに苦しそうに、むせび泣く。
そんな彼女の前に、不意に1冊の本が飛び出した。神々しく白銀に光るその本はふわりと宙に浮き、ひとりでにページを開くと、少女の手に収まった。
｢ぁ｣
涙で霞む視界の中、必死で本を凝視する。開かれたページは彼女が幾度となく呼んできた昔話だった。世界で最も恐ろしく、強大な力を持った王と、最も気高く強く優しい心を持った女性の物語。
｢これ、は｣
少女が慄いて震えだすのと同時に物語の文字が浮かび上がり、2つのペンダントとなった。
妖艶に輝く紫色のペンダントは、ゆっくりと少女の首にかけられ、淡く優しい桜色のそれは、宙に浮いたまま、世界の果ての果て、人間界の方向へと光を放った。
｢そんな。あのときと同じ事がまた起こったというの?そして、今後は私が、世界を｣
ゴクリと息をのみ、空を仰ぐ少女。先程まで僅かに光っていた月も、もう黒く侵されかけている。迷う時間はない。
｢お母様、お父様、大叔母様。私にご加護を。シレーネもどうか無事でいて｣
少女は１人頷くと、人間界へと飛び立った。
もう１人の適合者(英雄)を探して。
ｰｰ
昔々、この世界には、凄く美しくて賢く、優しい少女がいました。彼女は虹のように綺麗で強くて、何よりも誰よりも、世界を愛していました。
しかしそんなある日、世界が突然深い闇に覆われてしまったのです。誰１人見えなくなり、月も太陽も捕らわれた闇の世界で、少女は立ち上がりました。
少女自ら、世界を闇に突き落とした犯人｢果てのない晦冥｣の首領デスパイアと戦ったのです。そして、とうとうデスパイアを封印し、光を取り戻しました。
人々は少女を敬い、深く感謝しましたが、それを少女が知ることはありませんでした。少女が世界から姿を消してしまったからです。その行方を知る者はいませんが世界に光を灯した少女、シエル･ラウラは、神よりも尊い存在として讃えられています。
(魔法界の昔話『光の少女シエル』より)
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Olivia＜オリビア＞ - リルさん» 重ねてコメントでーす！ 広村伊智子だったり、みゆきだったりするOliviaです！ うぁぁ(感泣)、私(片方は私たち)の作品を見てくださり、ありがとうございます！ これからもよろしくお願いしまーす！ (2019年1月15日 21時) (
レス) id: c51ee3eadd (このIDを非表示/違反報告)
Olivia＜オリビア＞ - リルさん» ありがとうございまーす！やった！初感想だ！めっっっちゃうれしいです！これからも是非是非読んでくださいねー！ (2019年1月11日 21時) (レス) id: c51ee3eadd (このIDを非表示/違反報告)
ショコラ - リルさん» ありがとうございます！まだ書き始めたばかりなのにそんなことを言っていただけてとても嬉しいです！これからもよろしくお願いします！ (2019年1月11日 7時) (レス) id: 860d897ebb (このIDを非表示/違反報告)
リル(プロフ) - はじめまして！この作品凄く好きです！最初のプロローグの描写が私好みだったんでチェックしてたんですけど、第1話で夢主ちゃんでの性格が大好きになっちゃいました〜。応援してます！ (2019年1月10日 23時) (レス) id: 2e93d67cbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ショコラ＆Olivia x他1人 | 作成日時：2018年12月27日 7時
