着替え ページ6
『1-A…1-A……』
広すぎる校内で、ようやく自分の教室を見つけて中へ入った。
ドアが大きすぎて開くか心配したが、案外軽くてすんなり開いた。
(4番……あそこかな)
席を見つけ、座るとくるっと前の席の女子が僕の方を向いた。
「貴方が後ろなのね」
「あ、うん」
「私は蛙吹梅雨よ、梅雨ちゃんと呼んで」
「梅雨ちゃん。"私"は甘降Aだよ」
「よろしくね、Aちゃん」
よろしく、と返しながらAは内心「どうしよう」と若干焦っていた。
自分が男だと言うべきかどうかだ。蛙吹はAのことを名前で呼んだ。つまり、女子だと認識されたということだろう。
Aは話す時、一人称を"私"にしている。そう義父に言いつけられているからだ。加えて女子の制服で、女子みたいな見た目。
(言わないと…着替えとかでどうせバレるんだし…)
「＿＿＿＿ハイ。静かになるまで8秒かかりました。時間は有限、君たちは合理性に欠くね」
考えているうちに、先生がやって来て全員そっちを向いてしまった。
タイミング逃した、と思いつつAもそっちを向いた。
「担任の相澤消太だ。よろしくね。…早速だが
(わー……)
もう着替えイベントが来てしまった、とAは苦笑した。
渋々、更衣室へと移動して＿＿＿＿
「ム！？ 女子更衣室は向こうだぞ！ 場所がわからないのか？」
『あっ、いや……その』
＿＿＿＿言わなくては。と思ってはいても否定されるのが怖くて言い淀む。
「……そいつ男だ。入れてやれ」
『え』
すれ違いざま、轟がそう言って更衣室へ入っていった。
「なっ……しかし女子の制服じゃないか、それは？」
『えと……許可得てて。紛らわしいよね、ごめん』
「そ、そうなのか…？ ハッ！ そうとは知らず、時間を取らせてしまった！ すまない！！」
『ううん、気にしないで』
よかった、偏見持ってるタイプではなさそう。
Aは少し安心して、更衣室に入った。
＿＿＿"女子"が入ってきたと思い、一部男子の視線がギョッとしてAに向いた。
「おいおいおい！ なんで女子が！？ えっ、ちょっ」
「雄英最高！！！！」
約2名が過度に狼狽える中、Aは「まあそうなるよなぁ」と諦め半分でそれを眺めた。
『男だよ。ごめんね』
それだけ言って、ロッカーに向かった。
今日のキャンディー
りんご味
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 93人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
我は竹の子(プロフ) - 最高っす！主人公が幸せになってくれればいいんすけどねぇ、、、、 (2019年10月5日 12時) (
レス) id: 10e4225bcf (このIDを非表示/違反報告)
｡ゆりゅぃ｡(プロフ) - 初コメ失礼します。面白いです！続き待ってます^^* (2019年7月21日 18時) (レス) id: eee496b48d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Re: x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai
作成日時：2019年7月9日 23時
