久しぶり ページ5
入学初日。
雄英の制服を身にまとったAは、少し緊張していた。
女子用の制服にはもはや何の抵抗も感じないが、中学時代のようないじめまがいなことをされると思うとやはり気が引けた。
でも義父が男物を着ることは許してくれないのだから仕方が無い。許可も降りてしまったのだから仕方が無い。
自分に言い聞かせ、パンッと自分の両頬を叩いて気合を入れた。
……ちょっと痛くてじんじんする。叩いたのを秒で後悔した。
『行ってきまーす』
行ってらっしゃい、なんて声は返ってこない。家にいるのは母だけだから当然だ。
推薦入試、Aはギリギリでの合格だった。
競技的に個性の相性が悪かったのもあるが、筋トレなどしようものなら義父に叱責されるので、ロクな訓練も積めず受験したのだ。
それでも推薦を取れたのはAの成績と素行が(女装以外は)良いからだ。筆記は特に成績が良い。
逆に実技は、男子としては中の下くらいだ。女子としては平均的だろう。
(はー……やっていけんのかな、僕)
そんな事情もあり、雄英の校門をくぐる前から大分不安になっていた。
向いてないと分かっていて雄英を選んだのは、ヒーロー志望なのはもちろんだが……
"王子様"になりたかったから。
……本当は諦めきってなんかない。
高校卒業後、親元を離れたら……なんて、夢を抱いていた。そうなればいいという、目標というよりは願望だった。
(……あ)
校門をくぐった先に、見慣れた背中が見えた。
(……背ぇ伸びたなぁ、焦凍くん)
紅白の髪に桜の花びらが付いているのが見えた。
＿＿＿魔が差した、と言えばそうだ。
Aは轟に駆け寄り、腕を掴んで、振り向いた轟の後頭部に手を回した。
『久しぶり』
にこ、と取った花びらを見せて笑う。
轟は、少し驚いた目をした。
長年一緒にいたから……無意識に目で追っていたから、無愛想でも表情の変化はわかった。
「……A」
『うん。また一緒だね』
よろしく、と言ってAは花びらを捨て、轟を追い越して立ち去る。
＿＿＿＿数年ぶりに話した轟は、随分男らしくなっていた。背も伸び、声も低くなり、筋肉もついて。
(……それに比べて、僕は…)
(……あいつ、また怪我増えてる)
無意識に、目で追っていたのは。
今日のキャンディー
りんご味
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我は竹の子(プロフ) - 最高っす！主人公が幸せになってくれればいいんすけどねぇ、、、、 (2019年10月5日 12時) (
レス) id: 10e4225bcf (このIDを非表示/違反報告)
｡ゆりゅぃ｡(プロフ) - 初コメ失礼します。面白いです！続き待ってます^^* (2019年7月21日 18時) (レス) id: eee496b48d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Re: x他1人 | 作者ホームページ：http://uranai
作成日時：2019年7月9日 23時
