Running to you (ページ6)

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高校に入って半年

私は相変わらず本と勉強が友達状態の日々を過ごしていた。

そうはいっても中学のときに仲の良かった友達もいるし、弟の一成の通うダンススクールにも友達はいる。

それに、気になっている人だっている。

…隣のクラスの白岩瑠姫くんだ。

同じ学年だけではなく、学校中の女子にも人気。

"王子様"と呼ばれ、ファンクラブができているくらいだ。

サッカー部で河野純喜くんと仲が良い。

地味な私は認識されることもないし、もちろん話すことも出来ない。

サッカー部の練習を見に行こうかとも思ったけれど、いつもファンのみんなでいっぱいで私が見る場所なんてなかった。

白岩くんを唯一見ることが出来るのが、体育の時間。

河野くんの隣に立って楽しそうに笑う白岩くん。

偶然にも席替えで窓側の席が当たった私はいつもB組の体育の時間は窓の外を眺めていた。

別に話したいわけではないし、彼女になりたいだなんて無理な話。

ただ、見つめるだけで満足だった。

一度だけ、電車の中で白岩くんに遭遇したことがある。

そこから、なるべく同じ時間の電車に乗るようになったんだけど彼とそれ以来一度も会えていない。

今日もいなかったか…と思いながら電車を降りて改札に向かう。

…あれ？

定期がない。

いつもカバンのポケットに入っているはずの定期がなかった。

電車の中に置いてきてませんように…と思いながら、カバンの中を探してみる。

どれだけ探しても見つからない。

どうしよう…と困っていたときに、豆原さんと呼ぶ声が聞こえた。

見上げるとそこには河野くんがいて、私の定期を持っている。

少し話して何故か一緒に学校に行くことになってしまった。

そして今に至る。

A「…。」

なんとも言えない気まずい空気が流れる。

河野くんは優しさで一緒に学校に行こうと誘ってくれたのに。

朝早いからか、周りに同じ学校の制服を着た人は少なくて少し安心した。

だって、こんな状況を見られたら私確実に殺されちゃうじゃん。

純喜「あのさ、敬語やめへん？同い年なんやし。」

何か話さないと、と思ったとき先に河野くんが口を開いた。

A「じゃあ、そうします。」

人見知りだし、あまり人と話さないせいかどうしても敬語になってしまう。