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純喜side


電車が駅に到着し、ぞろぞろと人が降りていく。


俺も降りやんな…と思いながら席から立ったときだった。


斜め前のあの女の子が座っていた席のところに何かが落ちているのに気づいた。


拾ってみると、中には定期と学生証。


絶対になかったら困るもの。


駅員さんに届けるべき?


それとも、本人に直接渡すべき?


迷いながらも電車を降りる。


改札まで行くと、カバンの中を探している女の子。


さっきの子だった。


学生証を見て、名前を確認し彼女の元へ行く。


純喜「あの、豆原さんですか?」

A「はい…。ってそれ、私のです!」


俺がケースを持っているのに気づいたみたいで指をさす豆原さん。


よく見たら、めっちゃ可愛い顔してるやん!


A「ありがとうございます!なくて本当に困ってたんです!てか同じ高校ですよね?なにかお礼させてください!」

純喜「いや、そこまでせんでもいいけど…。」

A「確か、1ーBの河野くんですよね?」

純喜「まあそうやけど。俺の名前知ってるん?」


あかん。


緊張しまくりで全然上手いこと喋られへんし。


きつい人やと思われてへんかな…。


A「私、1ーAの豆原Aです。河野くん、一年で有名ですよ。白岩くんと同じくらいモテてるって。」

純喜「そうなん?初耳やわー。」


モテてるなんて初めて知った。


驚いている俺の顔が面白いのか、豆原さんがクスクスと笑った。


純喜「あ!呼び止めてごめん!友達待ってるよな?」


俺がそう言うと、途端に豆原さんの顔が少し曇る。


A「友達、いないんで大丈夫ですよ。河野くんこそ友達待たせてるんじゃないですか?」

純喜「俺も大丈夫やで。…やからさ、一緒に行かへん?」

A「えっと…。」

純喜「あ、ごめん。急に言われてもいらんよな。」


自分でも驚いた。


自分から女の子に一緒に行かないかと提案するなんて。


それに、困った表情の豆原さんを見て、しまったと思った。


この状況から逃げてしまいたい。


でも、ここで逃げたら豆原さんと余計気まずくなるだろう。


A「あの、その…。河野くんが大丈夫なら私はぜんぜん大丈夫なので…。」

純喜「じゃあ、一緒に行こか。」

A「はい。」


二人で隣に並んで歩き始める。


俺と豆原さんの間の微妙な距離がもどかしかった。

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作者名:Macaron.。 | 作成日時:2023年12月19日 22時

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