それぞれの恋愛模様たち (ページ6)

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丸山side

割れたグロスをジップロックに入れ、
Aちゃんと梅田のデパートへ。

化粧品売場は、どれも同じに見えて目が回る。

『このブランドです。』

Aちゃん、見つけんの早っ。

入れ物のデザインと細かい文字を照らし合わすが...

『うーん。さすがに無いかぁ～...』

店員「どちらかお探しでしょうか？」

『これと同じものを探しているんですけど、まだありますか？』

丸山、戦力外...

俺はただ、このやり取りをボーッと見てるだけ。

店員「クリスマスコフレの限定色ですので、グロス単品でのご販売は行っていないんです。申し訳ございません。」

つ、詰んだぁ～。

るびぃちゃんになんと謝ろうか...

『セットはまだありますか！？あれば１セットください！！』

へ？

丸山「グロスだけちゃうの？」

『割った本人に権限なし！』

店員「ラスト１セットございます！」

『買います！お支払いはこちらに！』

丸山「え？俺ぇ？」

『割った本人に権限なし！』

と、言ってAちゃんは手を出す。

早く早くとせがむ。

仕方なくクレジットカードを出す。

丸山「ﾁｯ」

『お買い上げありがとうございます(笑)一回でお願いします。』

丸山「いや、２回で！...って、行ってもうた。」

『丸山係長って、セコいですよね。』

丸山「はぁ？」

『一生、結婚できませんよ。』

丸山「し、失礼な！」

『あ、グロス以外のコフレ、私もらいますね。』

丸山「セコいのはAちゃんもやろ？」

なんやねん、さっきから。

腹立つわ。

『お互いセコい、似た者同士。...なーんてね。』

そう言って微笑む姿が、少し可愛かった。

Aちゃんって、わからん。

ちなみに、るびぃちゃんが戻ってくる前に帰って来れた俺らは、
買ってきたグロスを静かに引き出しに忍ばせた。