それぞれの恋愛模様たち (ページ44)

今日:5 hit、昨日:11 hit、合計:17,882 hit

Type-Nasu ページ44

Type-Nasu 新しい家族

村上side

朝７時。

村上「勝さん、おはようございます。」

再婚してからの日課。

仏壇に手を合わせ、愛用していた皿にお供えを置く。

村上「もしかしたら今日、チーちゃんが産気付くかもしれません。勝さん、どうか力を貸してやってください。」

俺らが再婚を決めた日に、一足先にシンゴと結ばれたチーちゃんのお腹は、新しい命を宿していた。

『信ちゃーん！』

村上「Aー、きたか？」

『そうかもー！』

隣の部屋からAが声を張る。

さっそくきたようだ。

緊張感に気付いたシンゴも威嚇した鳴き声を発する。

村上「シンゴ、お父さんになるんやろ？落ち着けって。」

ゲージ越しにシンゴの頭を撫でるが、

村上「イテテ。」

甘噛み攻撃を食らう。

村上「ちょっと待っててな？チーちゃんの様子見てくるからな。」

我が家の妊婦さんの元へ向かう。

苦しそうに鳴くチーちゃん。

村上「チーちゃん、痛くないか？」

『とりあえず、先生には連絡しておいた。大量出血か、２時間経っても出てこなかったら来てだって。』

リミットは９時。

ストレスを与えないように、扉１枚越しから見守る。

村上「A、飯まだやろ？俺見てるから、食ってきな？何かあったら、呼ぶから。」

『うん。ありがと、信ちゃん。』

と、言いつつソッコーで戻ってきたA。

『やっぱり気になるから、おにぎりにしてきた。』

まばらな塩コショウが振られた具無しのおにぎりを、廊下で二人で頬張る。

『あっ！』

村上「産まれた？」

一匹産まれ、30分後にまた一匹と、少しずつちっちゃな命が誕生する。

２時間半が経過して、気付けば５匹。

チーちゃん似の茶色い短足。

シンゴ似の垂れ耳。

それぞれの要所が混ざった子もいる。

可愛い。

奇跡的に全ての赤ちゃんを取り上げる事ができた。

これは、初めてなのにすごいと後日、先生にも褒められた。

けど、Aと相談した結果、
赤ちゃんは今回だけにして、
シンゴとチーちゃんには手術を受けさせた。

親猫含め、７匹の大所帯となった我が家。

今度は里親探しに翻弄されることになる。