それぞれの恋愛模様たち (ページ39)

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安田「あれはちゃうよ。」

『嘘。あんな綺麗な箱、普通の友達に渡さなくないですか？』

....見つけたんか。

安田「あれな...確かにプレゼントするんやけど、クリスマスのやないんねん。」

『どういう意味ですか？』

安田「この間来てた、焙煎機のメーカーさんおったやんか？あそこの赤ちゃんが産まれたら渡す予定の、銀の匙やねん。スプーンのことね。一生食べ物に困らへんようにっていうお守りや。予定日５月やって言ってたから、かなり先走っとるんやけどな。デパートで一目惚れしてん。」

『あの...メーカーさんってそこまでするもんなんですか？』

安田「普通はせぇへんな。」

『じゃあ、なんで...？』

安田「Aちゃん、嫌いにならへん？」

『え...わかんない。でも、知りたい。』

安田「気分悪くなったら、帰ってええからな？...この間のお姉さんは横山るびぃさん言うんやけどな、元カノやねん。」

静かに聞くAちゃん。

安田「あの焙煎機はもともとるびぃに依頼してん。同じアーティストが好きやって知って、一緒にライブにも行ったし、この家で一緒に住んどった。」

幸せだった日々。

安田「でもな、ボク、病気してから外の日差しがつらいねん。何回も出掛けたいって誘われても断ってたら、どんどんすれ違っていって、
るびぃが仕事で大変な事になっていたことにも気付けなくて、心がボロボロになったるびぃを救えたのは横山さんやった。だからボクは横山さんにるびぃの全てを託したんや。
...ごめんな。こんな未練がましい話してもうて。」

『いや、そんなことないです。』

安田「嫌いになったやろ？」

『なんでですか？』

安田「体も弱いし、元カノとの思い出引きずって、いい歳したオッサンが情けないやろ？」

『うーん...元カノさんを支えられなかったのは、ダサいけど、少なくとも私は、安田さんがアドバイスしてくれたお陰で、ゼミで怒られなくなりました。教授から、やっとらしさが伝わってきたって。』

安田「そうなん！？」

『今の私には、安田さんが必要です。だから、イヴは一緒にいたい。ダメですか？』

ボクらはクリスマスイヴに会う約束をした。