Type-Blue ページ35
Type-Blue 十九歳
安田side
翌朝。
青白い顔したAちゃんが起きてきた。
『おはよう...ございます。』
安田「身体、大丈夫?」
『めっちゃだるいです。あの...服ってこれ...???』
安田「ごめん。着てたのは今、洗濯機。Aちゃん、空きっ腹にワインは悪酔いするからあかんよ。」
『え?何で知ってるですか?』
完全に記憶ないんやね...
申し訳ないと思いつつ、一部がワインレッドに染まったカーペットを指差す。
『まさか!』
安田「トイレ連れてこうとしたんやけど、間に合わんくて、そこで吐いてた。服も汚れてもうたから洗ってるとこ。」
『も、申し訳ございません!!!弁償します!!』
安田「カーペットのことは別にええよ。そろそろ買い換えようと思っとったとこやから。でも、謝ること、まだあるよな?今いくつ?」
『...』
安田「未成年の飲酒は違法です。」
『でも!来週、誕生日!』
安田「違法です。」
『...申し訳ございません。』
安田「大学生にもなると、もう大人になったような気持ちになるのも、わからんでもないけど、なんぼ来週には二十歳になる子でも、もし今何かあったら、責任を取るのはその場にいる大人や。...誰と飲んでたん?」
『...元カレ。』
なんや、胸の中がチクッとした。
『よりを戻さないかと言われました。』
安田「戻るの?」
Aちゃんは力一杯、首を横に振る。
『断りました。でも、アイツ、全然引いてくれなくて。だから、こっちはもう好きな人がいるから諦めてほしいって、ハッキリ言ってやろうと思ったら、お酒の力に頼ってしまって...』
知らない間に、Aちゃんは新しい道を歩み始めてたんや。
そら、学生さんやもん。
いろんな出会い、あるよな。
安田「...ちゃんと言えたん?」
『言えた。』
安田「そっか。新しい恋、実るとええな。」
『え...』
安田「大学の人やろ?その想い人。」
『ちがう。』
安田「そうなん?バイトとか?」
『安田さん。』
安田「ん?」
『人ん家のカーペット、汚しておいてこんなこと言うの、とても恥ずかしいんですけど...あの...えっと...』
最後の一言がなかなか言えないAちゃん。
その言葉、期待してええの?
昨夜の酔っ払った姿よりも顔を赤くするAちゃん。
何かを思い出し、バッグを物色しては、
例の見せてくれなかったスケッチブックを取り出して、ボクに差し出した。
安田「見てええの?」
46人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:るびぃ | 作成日時:2020年11月30日 2時