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村上「だからもう、天国からAさんを縛り続けるのは止めてもらえませんか?」
『村上さん!?』
Aさんの愛しい目を見つめる。
村上「Aさん、俺と結婚してもらえませんか?ご主人と比べたら、至らない所だらけの男やけど、絶対に、絶対に悲しい思いはさせへん。」
『村上さん...』
村上「お願いやから、俺のことも信五って呼んでや。」
『...信五...さん...』
村上「やっと呼んでくれた。愛してる。」
俯くAさんの肩を抱き寄せた。
『勝さん、ごめんなさい。死ぬまで再婚はしないって心に決めていたのに、今は信五さんのことで頭がいっぱいなの。』
やっと、Aさんは俺の背中に手を回す。
村上「Aさんが天国に行く日が来たら、必ずご主人の元に返すから、それまで貸してほしい。」
『信五さん...』
村上「ご主人への気持ち、忘れろなんて言わん。俺は2番でええから。今でも天国のご主人のことが大好きなAさんを、俺は受け入れるよ。」
抱きしめる力が強くなる。
ニャー
ニャー
ニ゛ャ゛ー
ん?
なんて鳴き声や?
俺らは、今まで聞いたことがないチーちゃんとシンゴくんの鳴き声が聞こえた部屋へ向かうと...
村上「あっっっっ!!!!!」
『えっっっっ!?』
ベッドの上で俺らよりも先に、猫同士で結ばれとった。
『チーちゃんって、手術してます?』
村上「あんな病院嫌い、できるわけないやん...」
『うちも...』
無理にでも受けさすべきやった...
『家族、いっぱい増えますね。私もその仲間に入れてください。』
村上「当たり前や!」
死ぬまでAさんを悲しませないと、
仏壇で微笑むご主人の遺影に俺は誓う。
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作者名:るびぃ | 作成日時:2020年11月30日 2時