それぞれの恋愛模様たち (ページ32)

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Type-Nasu ページ32

Type-Nasu どんな貴女でも受け入れる

村上side

Aさんの家に上がらせてもらう。

廊下を経て、居間にはシンゴくんのゲージ、
そして、亡くなったご主人の仏壇があった。

『勝さん、ただいま。』

火を点けると漂う、線香の薫り。

『勝さん、今日は会ってほしい人がいるの。村上さんって言ってね、シンゴと同じ名前なの。』

お茶目に笑う遺影に手を合わせる。

村上「初めまして、村上です。大阪市内で機械メーカーに勤めています。チーちゃんというマンチカンを飼っていて、シンゴくんと同じ動物病院に通ってます。」

当たり障りのない事を言って、守りに入る自分が嫌になる。

一度、深呼吸をした。

村上「ふぅ。ハッキリ言わせてもらいます。まだ、出会って間もないですが、俺はAさんが好きです。」

もう一度、深呼吸をして言葉を整える。

村上「Aさんの好きなところは、目です。いつもシンゴくんを見つめる優しい目が大好きです。」

出会ってから今まで、感じたことを言葉にする。

村上「何度も会ううちに、いつかその優しい目で俺のことも見て欲しいと思うようになりました。でも、俺を見る目はいつも悲しそうなんです。さっき、食事をしながらご主人のことを話してもらいました。自分が良い思いをすることがご主人に申し訳無いからって。」

俺はもう、Aさんが悲しむ顔を見たくない。