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《回想》
結婚してもうすぐ２年って頃。
千尋「ねぇ、今日は定時で帰ってこれるんだよね？」
村上「今日は帰るよ。」
千尋「排卵日、今日がチャンスなの。」
村上「わかったわかった。帰るから。」
当時、妻だった千尋は毎月のように、
早く帰ってこいだの、今日が排卵日なのと、
子供を作る事に必死になっていた。
せやけど、俺は俺で...
“急に接待が入った。”
“クライアントでトラブルった。”
残業が入ったり、
千尋「お帰りなさい。」
村上「疲れた。飯ええから、もう寝るわ。」
仕事も部長に昇進したばかりで、立て込んでいた。
疲労も今の比やなかった。
次第に千尋も、
村上「今日はアカン。寝かして。」
千尋「し ね。」
暴言を吐くようになり、
村上「今から泊まりで、奈良のクライアントんとこ行ってくる。」
千尋「不倫旅行おつ。」
あらぬ濡れ衣着せられたり。
夫婦間に亀裂が入っていった。
仕舞いには、
千尋「彼氏がいるの。お腹にも彼の赤ちゃんが出来たから別れて？」
強制終了。
さすがに俺自身、言いなりにはなりたくなくて、
間男から慰謝料は請求した。
でも、本当は慰謝料なんてほしくなかった。
千尋とやり直したかった。
けど、大事そうにお腹をさする姿を見ていると、
幸せそうやな、
そんな千尋が愛おしいなって許してしまう自分がおった。
村上「Aさんみたいに誇れる人生送ってないんです。ホンマ、ダメ亭主なんです。」
『そんなことないです！村上さん、優しいんですね。私だったら、相手にそんな酷いことされたら、刺すと思います。』
村上「刺す！？」
『あ...』
村上「(笑)いや、それが普通ですよ。Aさん、意外とキツいことも言うんですね。」
『元奥さん程ではないと思いますけど...』
村上「ダメなことはちゃんとダメやって言える人、大好きです。」
『.....村上さん、帰りにうち寄っていただけませんか？主人に会ってほしいんです。』
村上「ええの？」
『今日じゃないと、また主人への罪悪感が募る気がして。』
村上「...わかりました。」
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作者名：るびぃ | 作成日時：2020年11月30日 2時
