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お嬢さんは美大の２年生で１９歳。
彼氏に二股かけられた挙げ句振られ、
追い討ちを掛けるかのように、教授から課題を酷評されて、メンタルがボロボロだという。
彼氏がしょうもないのはともかく、
酷評された課題ってどんなんやったんやろ？
安田「教授はなんでアカンって言ったの？」
『それが、具体的には話してくれなかったんです。とにもかくにも、才能も糞もないって罵られて...』
安田「逆に見てみたいなぁ〜」
『...見ます？現物は大学ですけど、写真ならiPadに残してます。』
安田「見る！」
『酷かったら酷いって、言ってください。』
と言って画像を出すと...
安田「えっ！めっちゃ上手やん！」
『本当ですか？』
安田「ほんま！ほんまに上手いよ！」
真っ黒な服のイメージに反して、
色鮮やかな風景の油絵だった。
『でも...』
安田「もし、お客さんから売ってほしいって言われたら、いくらで売る？いくらなら売りたい？」
『えー...そうですね...』
沈黙が続く。
『１万。』
安田「それでええの？」
『いや。8,000円』
安田「なんで下がるん！？ボクなら、写真をみた感じ、技術は３万の価値はあると思う。ただ、ただの綺麗な絵に見える。周りの目を気にしすぎて、上手に描こうと思ってへん？教授にはそれがお見通しやったんやないか？」
『そう...かもしれないですね。』
それ以来、お嬢さんことAちゃんは、
週に２回はこの店に現れるようになった。
ただ、最初とは違い窓際のテーブル席を好んで座るようになり、
スケッチブックで何やら絵を描いている。
しかも、その絵を頑なに見せてくれない。
ボク、避けられてる？
いや、嫌いならここ来ぉへんよな？
こうしてボクとAちゃんの、スケッチブックの中身を巡った攻防が始まった。
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作者名：るびぃ | 作成日時：2020年11月30日 2時
