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#3-7
崇裕「眠れへんのか?」
『ん。』
何度も寝返りを打つ私を不思議に思ったらしい。
崇裕「ほんなら、出掛けるか。」
は?
だるい身体を無理やり起こされ、
歩けないとグズれば、背負われ、
しばらくすると、そこは防波堤。
『釣りすんの?』
崇裕「100均の竿やけどな。ほら、Aも。」
そう言われて無理やり持たされた釣竿。
『さむ。』
崇裕「兄ちゃん、ぎゅっとしてるから。」
じんわり伝わるタカ兄の体温。
時刻は朝4時半。
さっきまで真っ暗やったのに、うっすら明るくなってきた。
崇裕「朝マズメは魚のゴールデンタイムや。」
釣竿を持たされてるから離れられない私をよそに、
ちゃっかり持ってきてたバッグから、GoProを取り出すタカ兄。
崇裕「おはようございます。ハマちゃんやで。今日は、朝から防波堤で釣りしてます。最近、話題になってる100均の竿、買ってみましたー。」
ちょっっっ!!
コイツ、録画始めやがった。
崇裕「妹でーす。」
『やめてや。』
崇裕「嫌われましたー。ほな。また。」
相変わらずデリカシーゼロやな。
崇裕「仕事は?」
『最近行ってない。』
崇裕「横山、死んだからか?」
『それだけちゃう。』
会社の内情が変わってしまって、
辞めたくても辞めさせてくれないってタカ兄に言ったら・・・
崇裕「病院行くで。」
『なんで?』
結局、この日は何も釣れなかった。
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作者名:るびぃ | 作成日時:2024年2月13日 17時