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#3-26
横山さん亡き後、エイトの権利を引き継いだ村上さんは、これまでと何一つ変えず、ライブバー経営と身寄りのない若者の雇用と学業の救済を続けることにした。
村上「もう、大変やで。ヨコ、こんなドえらいこと、顔色一つ変えんとやってのけてたなんてな。そら、心臓が悲鳴上げるわ。」
『村上さんもめちゃくちゃすごいですよ。』
村上「これは、みんなのおかげ。」
そして、こう続けた。
村上「ヨコに助けられて羽ばたいてった卒業生たちが俺の背中を押してくれてるだけ。世の中は恐ろしいものだらけで1人じゃ乗り越えられな壁が沢山ある。けど、誰かと一緒なら越えられるもんや。な!」
その言葉に、うんうんと頷く大倉さんとまっさん。
大倉「あの、マルでさえ取り柄あるからな。」
正門「それ、本人に言ったら喜びますよ?」
大倉「絶対言わん。アイツ調子に乗るで。」
フォークにいっぱい巻き付けたアマトリチャーナを頬張る大倉さん。
大倉「とにかく、エイトはみんなAの味方や。あ、村上くん。」
村上「あぁ、せやせや。」
思い出したように、店の奥から何かを持ってきた村上さん。
村上「ほれ。」
『ん?』
書店の紙袋に入ったそれは・・・
『写真。』
村上「ヨコの遺影持ってへんやろ?あげるわ。」
『え、そんな。良いんですか?』
村上「兄妹やろ?あのおっさんはさておき、血の繋がりがあるやつ、お前しかおらんねん。持っててくれた方がヨコ、喜ぶはずや。」
写真の横山さんは、一生懸命ギターをかき鳴らしていた。
正門「ギター、僕が教えたんです。」
『まっさんが?』
元々弾いてたんちゃうの?
大倉「5年くらい前やっけ?ギターボーカルやってたヤツが辞めて、客減って。それまで経営しかやってなかったのに、俺がやらなって40手前で急に練習し始めてんな。」
正門「安田くんも教えてましたけど、タイミングが合うのが僕で、付きっきりでした。」
村上「ヨコがそうやったからな。今更なんてモンは無いねん。今が1番若いんやから、なんでも挑戦すればええよ。」
今が1番若いか。
『その言葉、しっかり受け止めました。』
村上「おう。頑張れ。」
『また来ます。』
大倉「今度は遠慮すんなよ。」
正門「僕もまた連絡します。」
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作者名:るびぃ | 作成日時:2024年2月13日 17時