#8-28 ページ29
第28話 亡骸
中間side
中間「マジか。」
智洋「しげぇぇぇぇ!!!」
間に合わなかった。
私があの女を信じたばっかりに。
私がのんちゃんを恨んで呪いをかけたばっかりに。
中間「ごめん。………ホンマにごめん。」
智洋「パパのせいちゃうよ。俺、助けられるチャンス、何回もあったはずやねん。そもそも、俺がパパの呪いを解こうとしたから………」
智洋の嗚咽につられて、
自分の視界も涙で歪む。
中間「智洋、辛いけどお別れせな。」
智洋「…………うん。」
弱々しい返事をすると、
智洋はしげの手を優しく撫でた。
智洋「しげ、助けられなくてごめん。………ごめん。今までありがとうな。………さよなら。」
智洋は涙を拭うと、
しげの額に最後のキスをした。
智洋「………大好きやで。…………お母さん。」
…………………ピクッ
智洋「え?」
動いた?
見間違いか?
ピリリリリ!!
ピリリリリ!!
繋がれとるモニターから異常を知らせる音が響く。
しげの顔を見ると、真っ赤になって苦しんどった。
智洋「ど、どういこと?まさか、生き返ったん!?」
突然のことにパニックになる智洋。
中間「ハッ!!喉に何かがつっかえとるんや!!」
私は慌てて、しげの身体を起こすと、
背中を力一杯叩いた。
中間「出せ!!全部出し切れ!!」
最終手段やと、しげの口に指を突っ込んだ。
すると……
オエッ
しげの口から、不気味な黒い煙が吐き出された。
中間「なんやこれ!?」
煙を追いかけ手で扇ぐと、煙はスッと消えていった。
中間「しげ!大丈夫か!?…………え?」
智洋も隣で目を見開いて立ち尽くす。
そこにおったのは………
中間「お前、まさか。」
智洋「まるで白鳥や。」
白い服に身を包んだ、縮れた茶髪の綺麗なお姉さんが座っとった。
中間「しげやんな?」
重岡「え?淳太?なんなんその格好。」
中間「お前もやんけ。」
魔法で手鏡を出して渡すと、
自分の姿を見て驚くしげ。
重岡「……ホンマや。」
智洋「これがエマ王女の本当の姿やね。」
智洋はしげの姿に何の疑いも無く言った。
智洋「お帰り、お母さん。」
重岡「ただいま、トラちゃん。」
31人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:るびぃ | 作成日時:2023年1月22日 21時