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第26話 マユミの物語
マユミside
どこや?
どこや!?
ヨココさんに吹っ飛ばされた裁ち鋏は。
僕は鋏を追いかけて、窓から飛び降りた。
横子「くそっ!このカエルめ!!」
僕はカエルの王子。
そう、ヨココさんは言うけれど、
王子とか、お城とは全く無縁のド平民。
僕の世界ではおかんと二人で、街外れの田舎に暮らしとった。
《回想》
ムラコ「マユミ、ご飯やで。」
マユミ「今日は何?」
ムラコ「今日はなぁ、ニワトリが卵産んでん。」
マユミ「わぁ!卵焼きや!」
けど、そのおかんも流行病で死んだ。
性格が合わんおかんと酷い別れ方をした父親とは会う気にはなれへん。
そんな時に、ヨココさんと出会った。
ヨココ「おとぎの世界ってのはなぁ、二つあんねん。」
マユミ「二つ?」
ヨココ「もう一つの世界は、こことは全くの別物や。仲の良い友達も、もう一つでは他人やったり、身分が違ったりもする。マユミ自身だってそうや。向こうの世界線なら立派なカエルの王子様や。」
それや。
僕は閃いた。
僕は、もう一つの世界にいる生き別れになってしまった父親を探して、今度こそおかんと仲良くしてほしい。
別れないでと言おう。
その為には、救世主の運命とやらを終わらせなきゃいけないんやって。
ヨココさんの望みが叶ったなら、今度は僕の番。
でもその前に、仇を取るんや。
あの鋏で流行病を持ち込んだ犯人を、
おかんを殺したヨココさんを僕は殺す。
◇
横子side
“エマ………そんな。”
!?
濱田「誰の声や?」
横子「コイツ…まだ消えてへんかったのか。」
“親父の運命の身代わりなんて、お前のエゴやんけ!”
濱田「親父って?」
“親父!ルンペルシュティルツキン、目を覚ませ!!全部コイツが、ヨココの仕業や!!”
横子「黙れ。黙れ!黙れ!!」
濱田「………………………キミ、タカ?」
くそっ。
一度死んでるとはいえ、キミタカの魂が強すぎる。
もう潮時やな。
救世主の運命が終わった今、さっさとこの町をぶっ壊してしまえ。
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作者名:るびぃ | 作成日時:2023年1月22日 21時