ワンス・アポン・ア・タイム～おとぎの森は西の町～シーズン8 (ページ18)

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第17話元気を出して

濱田side

藤原「申し訳ございません。治療に影響が出ますので、お引き取りください。」

今日もダメやった。
町長の助言に勇気づけられた俺は、
ムラコへの面会を試みたが、やっぱり断られた。

濱田「はぁ。」

ベンチに腰掛け、横に紙袋を置く。
町長から買い取ったボトルシップ。
ムラコに見せたら、元気を出してくれるんやないかと思って持ってきたが、無駄やった。

「お隣ええですか？」

見上げて目が合う。

濱田「おぉ。帽子屋か。」

ライダースとデニム。
そして、個性的なデザインを着こなした、
マサカド帽子店の店主やった。

濱田「にしても、凄い帽子やな。」
正門「僕ね、実は帽子が似合わないんですよ。」
濱田「え？そうなん？」
正門「やから、自分に合う帽子を作ろうとこの仕事始めたんです。…………これ、ボトルシップですか？」

マイペースに話題を変える帽子屋。

濱田「お、おん。戴き物やねん。」
正門「凄いですね。触ってもええですか？」
濱田「割らんよう、気ぃ付けてや？」

帽子屋はそっと、紙袋に入ったボトルシップを取り上げる。

正門「船と言えばね、その昔マリーアントワネットが船の模型を帽子に仕立てた事があって………」

帽子屋はこんな感じにって頭の上にボトルシップを乗せた。
すると………

ｼﾞﾘﾘﾘﾘﾘﾘ!!!!!!!

濱田「なんや？火災報知器か？」

ﾂﾙﾝ

正門「え！？」
濱田「あーーーー！？」

ｶﾞｼｯ

正門「せ、セーフ！！」

間一髪のところで帽子屋はボトルシップを捕まえた。
ポヤポヤしとる割に、反射神経がええのが幸いや。

濱田「お、お前なぁ！気ぃ付けろ言うたやんけ！！」
正門「すんません。」

俺は帽子屋からボトルシップを奪い取って、
元の紙袋へ仕舞った。

正門「それにしても、火災報知器、イタズラやないっぽいですね。避難しますか。」

ムラコは大丈夫やろか？

濱田「俺、ちょっと行ってくるわ。」
正門「えっ、お気を付けて。」

東西に長いこの建物。
周りの話を聞くと、ムラコが入院しとる東館とは逆の西館で放火騒ぎが起きたらしい。
けど、その火を付けた犯人が取り押さえた人ごと消えたとか。

濱田「こわ……」

何度も通った通路。
そして、何度も追い返されて途方に暮れた場所。

ｿﾞﾛｿﾞﾛ

濱田「！？なんや、いっぱい人来た！！」

見た事ない群衆びっくりして危うく紙袋を落としそうになる。
その先頭が……

濱田「ムラコ？嘘やろ？」