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第16話 お宝
智洋side
ｼﾞﾘﾘﾘﾘﾘ!!!!!
院内に火災報知器が鳴り響く。
そして、スプリンクラーを発動して、廊下はびしょ濡れや。
俺らって、どうなるんやろ？
ｶﾞﾁｬｶﾞﾁｬ
ムラコ「横子かもしれん!!静かに!!」
鍵を開ける音。
あの人が来たかもしれんと、声を潜めた。
小瀧「神山くん!!」
……小瀧先生?
ｶﾞﾁｬ
「智洋!!」
目の前の扉が開く。
「助けに来たで。」
智洋「…パパ!?」
中間「せやで。お待たせ。辛い思いさせてごめんな。」
まるで、本の挿絵からそのまま出てきたような、
マリアンヌそのものやった。
智洋「今までどこにおってん!?心配したんやから。」
安心したせいか、視界が潤んでよく見えない。
中間「ごめんな。横子に騙されて、違う世界線に飛ばされてたんや。でも、お宝を見つけてん。」
智洋「お宝?」
中間「照史、来てや。この子が智洋。」
そこにおったのは、俺を庇って死んだはずの桐山さん。
中間「お宝やろ?」
智洋「生き返っ……」
桐山「別人でぇす!!」
智洋「やんな。」
チャラいテンションに、別人だとすぐにわかった。
中間「こんなんやけど、いざとなれば頼りになるヒーローや。」
桐山「こんなんって!!せや。あと、もう一人。しげってのはどこ?」
智洋「この病棟とどこかなんやけど、うんともすんとも言わんから、分からへん。」
中間「片っ端から開けるとなると、時間掛かるなぁ……」
この病棟だけでも３０床近くある。
藤井「なぁ、魔法で一斉に開けられへんの?」
中間「あ。」
できるんかーい!
パパ、もといマリアンヌは手をパンと鳴らすと、
病床の鍵が全て開いた。
小瀧「火事や!みんな逃げるで!!」
そう小瀧先生が叫ぶと、
パニックになった患者さん達が病床から一気に飛び出してきた。
藤井「やば。」
小瀧「開ければって言ったの流星やで。」
藤井「ちょっと、イメージと違った。」
ﾊﾞｧｧｧﾝ!!!!
「静かにせぇ!アホんだらぁぁ!!」
扉が開くと、大きく背伸びをしながら出てくるムラコさん。
ムラコ「こんな部屋にぶち込まれるし、子供も取られるし、散々。」
中間「え。子供!?」
智洋「俺もさっき聞いた。マユミくんって男の子。見つけたら、教えてな!」
ムラコ「行くで。」
患者さんたちを連れて、ムラコさんは病棟の外へと消えて行った。
藤井「かっけぇ。」
小瀧「そりゃ、濱田さんも尻に敷かれるわ。」
病床の扉はほぼ全て開け放って、もぬけの殻となった。
たった一つを除いては。
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作者名：るびぃ | 作成日時：2023年1月22日 21時
