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#7-12 ページ13

第12話 ケンティーのいない世界

重岡side

目覚めれば、のんちゃん家の寝室で。


小瀧「……おはよ。」


離乳食の支度をするのんちゃんがおった。


重岡「………夢?」
小瀧「夢ちゃうよ。」
重岡「ケンティー……」
小瀧「助けたかったなぁ。」


背中は小刻みに震えとった。


小瀧「無力な母親でごめんなぁ。」
重岡「そんなこと………」


ガタン!


出来たばかりの離乳食が、裕くんに拒絶されて、
お皿ごとひっくり返ってた。


小瀧「ほら、今も。ホンマにダメダメや。」


泣きながら床を拭く姿が見てられなかった。


重岡「そんなことないって。」
小瀧「………泣きたいのはしげの方やんな?」


あんなことが起きたのに、
俺の目は乾いたままやった。
いや、俺はまだこの町のどこかにケンティーが居るかもしれんと思ってるんやろ。
窓を開ければ、ひんやり冷たい風。
そういや、誕生日過ぎてもうた。



中間side

「ジュンさん?……ジュンさん大丈夫?」


優しく揺さぶって起こすのは照史やなく……


中間「ん………おぉ、晶哉おはよ。」
佐野「どないしたん?寝汗やばいっすよ?」


全身ぐっしょりと濡れたパジャマが気持ち悪い。


中間「シャワー行ってくるわ。」
佐野「僕もう時間やから行きますね?」
中間「あれ?学校、休みやんな?」
佐野「今日はシャーウッド。町立病院のお楽しみ会の準備です。」
中間「もう、そんな時期か。俺も後で行くわ。」
佐野「とものラストイヤーですからね。あっくんとマリアも気合い入ってますよ。」


そうか。
あんなに小さくて人見知りだった智洋も、
留年しなければ最後か。
それに、しげを励ましてやりたい。
きっと寂しいはずや。


中間「何か俺もやろうかなぁ?」
佐野「じゃあ、あっくんと夫婦漫才してください。」
中間「はぁ?」
佐野「お似合いやで?ロビンフッドとマリアンヌ。じゃ、後で。」

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作者名:るびぃ | 作成日時:2022年9月22日 22時

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