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第12話 ケンティーのいない世界
重岡side
目覚めれば、のんちゃん家の寝室で。
小瀧「……おはよ。」
離乳食の支度をするのんちゃんがおった。
重岡「………夢?」
小瀧「夢ちゃうよ。」
重岡「ケンティー……」
小瀧「助けたかったなぁ。」
背中は小刻みに震えとった。
小瀧「無力な母親でごめんなぁ。」
重岡「そんなこと………」
ガタン!
出来たばかりの離乳食が、裕くんに拒絶されて、
お皿ごとひっくり返ってた。
小瀧「ほら、今も。ホンマにダメダメや。」
泣きながら床を拭く姿が見てられなかった。
重岡「そんなことないって。」
小瀧「………泣きたいのはしげの方やんな?」
あんなことが起きたのに、
俺の目は乾いたままやった。
いや、俺はまだこの町のどこかにケンティーが居るかもしれんと思ってるんやろ。
窓を開ければ、ひんやり冷たい風。
そういや、誕生日過ぎてもうた。
◇
中間side
「ジュンさん?……ジュンさん大丈夫?」
優しく揺さぶって起こすのは照史やなく……
中間「ん………おぉ、晶哉おはよ。」
佐野「どないしたん?寝汗やばいっすよ?」
全身ぐっしょりと濡れたパジャマが気持ち悪い。
中間「シャワー行ってくるわ。」
佐野「僕もう時間やから行きますね?」
中間「あれ?学校、休みやんな?」
佐野「今日はシャーウッド。町立病院のお楽しみ会の準備です。」
中間「もう、そんな時期か。俺も後で行くわ。」
佐野「とものラストイヤーですからね。あっくんとマリアも気合い入ってますよ。」
そうか。
あんなに小さくて人見知りだった智洋も、
留年しなければ最後か。
それに、しげを励ましてやりたい。
きっと寂しいはずや。
中間「何か俺もやろうかなぁ?」
佐野「じゃあ、あっくんと夫婦漫才してください。」
中間「はぁ?」
佐野「お似合いやで?ロビンフッドとマリアンヌ。じゃ、後で。」
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作者名:るびぃ | 作成日時:2022年9月22日 22時