ワンス・アポン・ア・タイム～おとぎの森は西の町～シーズン4 (ページ43)

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第42話消えた一年

重岡side

ムラコさんは間髪入れずにこう訴えた。

ムラコ「一年前の記憶、思い出した！

……ヨコは呪いが西の魔女の仕業やって、
すぐに気づいたんや。

だから、立ち向かえるようにって墓の鍵を見つけて、
崇裕を蘇らせようとしてん。

でも、止めたんや。

ヨコが死んでもうたら、
重岡くんと智洋くんに二度と会えへんやろ？って。

ほんなら、あの二人は俺たちの事を忘れて幸せに暮らしとるはずやから。

もう充分やって………！！！あのお人好しが！！」

一緒におった安田先生が、落ち着いて！と二人を引き剥がす。

ムラコ「でも……あんたってヤツは、
結局大事なのは魔法やんか。西の魔女に加担したんやろ？
ヨコの気持ちを踏みじったんや！！」

濱田「信ちゃん、誤解や。ちゃんと話を聞いてほしい。」

ムラコ「こんなモンがあるからヨコが死んだんや！」

ムラコさんは濱田が忍ばせとった短剣を取り上げて、
濱田に突き付ける。

ムラコ「崇裕、私の為に短剣を捨てられるか？」

濱田「おいおい。信ちゃんは大事な事を忘れとるよ。魔法は力なんや。魔法が無ければ強くなれへん。信ちゃんに肩身が狭い思いをさせたないんや。」

ムラコ「……私が肩身狭いって？」

ジリジリと、短剣をと濱田の首筋との距離が短くなる。

ムラコ「崇裕は何もわかってへん。魔法なんて必要ないし、無くても惨めだと思わない。臆病でも、崇裕は崇裕であって欲しかった。」

濱田「なぁ、信ちゃん……」

ムラコ「黙れ！！！今までは化け物やろうが闇の王でも、その後ろには人の心があった。今のあんたはただの野獣や。」

濱田「お願いや。話を聞いてくれ。信ちゃんまで失いたくないんや。」

ムラコ「…………もう、とっくに失っとんねん。」

濱田「信ちゃん！！」

ムラコ「ルンペルシュテルツキン、この町から消え失せろ！」

すると、短剣をから紫色の煙が濱田を包み込む。
そして、煙と共に濱田は消えてなくなってもうた。

ｶﾗﾝ

持ち主を無くした短剣が、虚しく落ちる。

安田「…ホンマに消えてもうた。」
ムラコ「ありのままの崇裕で充分やのに……くっ………うっ………ｸﾞｽｯ………崇裕ぉぉぉ！！！」

ムラコさんの嗚咽が響いた。