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第41話 死が二人を分かつまで
重岡side
重岡「裕くんは……?」
その言葉に皆が俯く。
そして、淳太が苦しそうに口を開く。
ジュン「霊安室やで。村上と安田先生が綺麗にしてくれとるよ。」
重岡「会いたい。」
◇
重岡「裕くん……」
最期の時とは打って変わって、綺麗に整えられた亡骸。
重岡「村上さん、安田先生、ホンマに今日までありがとうございました。」
ムラコ「私らはただ、重岡くんの帰りを信じてただけやから。」
安田「最後に家族三人で過ごしや?智洋くん、重岡くんが帰ってくるまで会えへんって、ずっと我慢してたんやで。」
偉いな。大人になったな。
って、安田先生に頭を撫でられる智洋。
ムラコ「ほな。私ら廊下におるから。」
そう言って部屋を出て行くと、一気に静寂が訪れる。
重岡「裕くん、ただいま。なぁ、聞いてや?大変な目にあってん。」
俺は、ポータルに飲まれて過去を冒険した話をした。
重岡「もし、のんちゃんが別の人と結婚してもうたら俺、産まれて来なかったかもしれん。もし、そうなったら、裕くんに出逢って…智洋が産まれた事が…全部幻になってまうと思ったら、怖くて…悲しくて……」
震える手で、愛しい人の頬を触るけど、
裕くんはとっくに冷たくて、
もうこの目は開かないんだって、
現実を突きつけられた気がした。
重岡「裕くん……裕くん!!!!!」
力が抜けて崩れ落ちそうになったところを、
智洋が抱き留めてくれた。
智洋「俺がお父さんの分まで生きるから……お父さん……お父さん、一緒に…暮らしたかった……!!」
擦り寄せた頬に智洋の涙が伝う。
智洋「会えたこと、ホンマに嬉しかった。ネバーランドまで迎えに来てくれてありがとう。お父さん、大好きや。」
俺の頬から離れた智洋は、
冷たくなった裕くんと額を合わせた。
すると……
辺り一面が光に包まれる。
重岡「この光…まさか!?」
智洋「そのまさかや!呪いが解けて、みんなの記憶が戻ったんちゃうか!?」
バタン!
ガタン!!ガタン!!
智洋「え?なに?」
騒がしい物音に、廊下に出てみると……
ムラコ「この野獣め!!!」
そこにおったのは、取り乱した村上さんと胸ぐらを掴まれた濱田の姿やった。
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作者名:るびぃ | 作成日時:2021年11月22日 4時