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第28話 裕の最期
ムラコside
横山「智洋に伝えてくれ。産まれて来てくれてありがとうって。」
重岡「絶対言う。裕くんは立派なおとんやったって。」
目が合うと、お互い頷く。
ﾋﾞﾘﾋﾞﾘﾋﾞﾘ!!!
横山「っあああああ！！」
ヨコの最期は、大人の私でも凄くショッキングで、
智洋くんには見せんで良かったと、心の隅でそう思った。
重岡「裕くん！なぁ、裕くん！！！」
ケンティ「……裕。ごめん、もう見てられん。」
部屋を飛び出したケンティー。
泣きじゃくる重岡くんにもらい泣きをしていた所に…
濱田「キミタカ……逝ってもうたのか。」
呆然としたまま寝そべる、うちの人。
ムラコ「崇裕！」
濱田「やっぱり、生き残るには魔法が必要なんや。」
疲れたからと、そのまま眠りに着いた崇裕。
すると、重岡くんのスマホが鳴った。
“着信中 智洋”
ムラコ「重岡くん……智洋くんから電話やで。」
重岡「……ｸﾞｽｯ……こんな時に？」
零れた涙を服で拭った重岡くんは電話に出ると……
重岡「え？のんちゃん、産まれそう！？」
◇
智洋side
夏休みの宿題をしようと晶哉に誘われて、
久しぶりに小瀧先生の家にお邪魔しとった。
佐野「トモ、これわかる？」
智洋「えー？俺もこれ苦手。あ！でもこの公式を当てはめて……」
ノゾム「二人ともすっかり難しい問題、出来るようになったんやねぇ。」
智洋「受験生やもん。第一志望は国立の文学部。」
ノゾム「やっぱり、小説家になりたいんや。」
智洋「うん！晶哉は来年やんな？」
佐野「悩んでる。大学の教育学部に興味もあるけど、保育系の短大なら二年で卒業出来るしなぁ……」
それって、ジュン女王ルートか、
ロビンフッドルートで悩んでるってことやんな？
ノゾム「大学行きたいって言ったら、ジュンちゃん喜ぶと思う。あ、お茶飲もっと。」
智洋「先生、俺が取ってくるから座っててや！」
ノゾム「ええの、ええの。ちょっとは運動せんとな。」
大きなお腹を抱えながら立ち上がった小瀧先生。
ノゾム「産婦人科の先生がくれたカフェインレスのお茶が美味しいねん。」
そう言って、台所へ歩きだすけど…
ノゾム「くっっっっ！あっ！！！」
佐野「……小瀧先生？」
智洋「先生？」
苦しそうに座り込んでもうた。
智洋「先生？どっか痛いの？」
佐野「大丈夫？」
ノゾム「………産まれそう。」
智洋・佐野「「えええええええ！？」」
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作者名：るびぃ | 作成日時：2021年11月22日 4時
