おツボネさんの恋愛模様 (ページ10)

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説明を読むと、パナマゲイシャ。

“通称、幻のコーヒーと呼ばれるとても貴重な品種です。”

『なんだこれ！？今までのコーヒーと全然違う。なんかすごい。美味しい。』

村上「俺、これ一番だめ。」

丸山「悪くないけど、個性が強いな。」

大倉「食べ物とケンカしそうな味やな。」

『私、これ一番好きかも。』

大倉「A、ゲテモノ、好きやもんな。」

『ジビエのことゲテモノ言うな。』

ゲイシャの薫りを感じながら、さっきの説明の続きを読んでみると、

“本来はお店で出している豆ではないのですが、Aさんとの今日の出会いの感謝を込めて、
ボクの幸せをおすそわけします。
これから、良いお仕事が出来ますように。”

大倉「説明、何て書いてんの？」

『う、うん？どこまで読んだっけ？』

丸山「Aちゃん、どうした？」

『お、美味しいからおかわり煎れてきま～す。』

村上「どんだけハマってんねん？」

ひとり給湯室に駆け込む。

『幸せをおすそわけかぁ...』

安田さんが書いた言葉に、
不覚にもキュンとしてしまった。

華やかなゲイシャの後味に、
安田さんが安堵した時の顔を思い出す。

『こちらこそ、良いお仕事させてください。』

村上「Aー！いつまで味わっとんねーん！」

『ちぇっ。もう終わりまーす！』

村上部長、ムードを壊す天才。
Aは、カップに残ったゲイシャを飲み干した。